喪中の年賀状のマナー。喪中はいつまで?喪中はがきを送る範囲はどこまで?
公開日:2019年11月12日
更新日:2023年10月2日
このページのコンテンツ
年末が近づくと、その年に親族に不幸があった場合、年賀状を出してよいのかどうか迷ってしまう方も少なくないでしょう。喪中はがきのマナーは確立されていないため、絶対にこうしなくてはいけないといった決まりはありません。しかし、一般的なマナーを守るなら、喪中の範囲次第で新年の挨拶を控えた方がよいでしょう。ここでは、忙しいなかでも迷わず喪中はがきを送れるよう、基本的なマナーをご紹介します。

喪中とは
喪中とは近親者が亡くなった際、遺族・親族が故人を偲ぶ期間のことです。「喪」というのは近親者などの身近な方・親しい方の死を悲しみ、冥福を祈りながら身を慎むという意味があり、そのような行動を「喪に服す」といいます。
ほかにも「服喪」「忌服」と呼ばれることもあります。喪中の期間は故人の死を弔うことを重視するため、お正月料理や年賀状、初詣などといったお正月行事をはじめ、慶事やお祝い事・派手な行動は控えるのが一般的です。
喪中の範囲
近親者が亡くなった際、何親等の親族が喪中になるのか意外と知らないという方も少なくないでしょう。一般的には「亡くなった方の2親等以内の親族」が範囲になります。
・1親等:父母・配偶者・子
・2親等:祖父母・兄弟姉妹・孫
故人からみた1親等・2親等の親族が一定期間喪中になりますが、近年では2親等以内であっても同居しているかなどで判断する場合もあります。
曾祖父母や叔父叔母、伯父伯母などは3親等に当たるので、喪中の範囲に含みません。
ただし、3親等以上でも故人と同居していたり、または親しい間柄だった場合は喪に服すこともあります。喪中となると避けるべき行動や行事も多々ありますので、この機会にぜひ把握しておきましょう。
喪中の期間
喪中の期間は、続柄によって異なります。まず、1親等となる自分の父母、結婚している場合は義父母の喪中期間は12ヵ月から13ヵ月、自分の子どもは3ヵ月から12ヵ月とされています。
2親等である兄弟姉妹は1ヵ月から6ヵ月、自分の祖父母、配偶者の祖父母は1ヵ月から6ヵ月とされています。曾祖父母と叔父叔母、甥姪は3親等にあたるため喪中期間はありません。
喪中期間に数ヵ月の差があるのは、故人との付き合いによっても喪中期間が変わるからです。たとえば2親等の祖父母の場合、住んでいるところが遠く離れていてほとんど会ったことがないということもあるでしょう。ほぼ面識がない故人に対し6ヵ月も喪に服すというのは現実的ではありません。最近は別居しているというだけで喪中にしない場合もあり、各家庭で喪に服す期間の尺度は異なります。
また、自分の子どもは3ヵ月から12ヵ月となっていますが、配偶者と子どもに関しては決まった喪中期間はないというのが一般的な考え方となっているようです。ただし、この期間というのはあくまでも一般的な基準でしかありません。故人を悼む気持ちに期間はありませんし、故人との関係性や親密度によっても悲しみの深さは違います。
ここで基準となっている喪に服す期間は、あくまでも喪中に控えなくてはいけないことや、喪中にやらなくてはいけないことをするための期間の目安でしかないのです。
喪中はがきとは
喪中の期間はお正月行事など慶事は控えるのが一般的ですが、それは年賀状も同じです。喪中はがきとは、年賀状の代わりとなる年賀欠礼の挨拶状です。
「身内に不幸があったため、年賀状など新年の挨拶は控えさせていただきます」と相手に伝えることが喪中はがきの目的といえるでしょう。
喪中の期間はおおよそ1年間です。近親者が亡くなり喪に服している間、お正月を迎えることになります。その際は、お正月を迎える前に喪中はがきが相手に届くよう、早めに準備をしましょう。
親族に不幸があった場合、喪中はがきを出す親族の範囲
喪中期間の目安が決まっているのは2親等までで、3親等と4親等は特に喪中期間はありません。そのため、喪中はがきを出す親等の範囲は2親等までというのが一般的です。
つまり、配偶者と父母、義父母、子ども(子どもの配偶者)、祖父母、兄弟姉妹、孫に不幸があった場合は喪中はがきを出します。ただし、これはあくまでも一般的な基準であり、必ず喪中はがきを出さなくてはいけないということではありません。
前述したように、疎遠になっていた祖父母や交流のない兄弟姉妹など、喪に服さない場合は出さなくても大丈夫です。逆に、頻繁に交流がある従兄弟や叔父叔母、孫のように可愛がっていた姪っ子や甥っ子であれば、親等に関わらず喪中とする人もいます。
喪に服すというのは、ある程度決まりはあるものの、本来は自分の気持ちで行うことです。もちろん親族というくくりはありますが、何親等であっても、自分の身内が亡くなり深い悲しみの中で新年を祝う気持ちに憂いがあるのであれば、喪中はがきを出してもおかしくはありません。
喪中はがきは誰に出す?
喪中はがきは前述した通り「身内に不幸があったため、新年の挨拶は控えさせていただきます」と相手に伝えるための欠礼状です。
喪中はがきを送る範囲は、送る相手と故人との関係や、疎遠になっているかどうかなどで決まりますが、基本となるのは「年賀状のやりとりをしている人」「葬儀に参列していただいた人」です。
あくまで「喪中につき、新年の挨拶は控えます」という趣旨を相手に知らせるためのものなので、年賀状のやりとりがない人には送る必要がありません。ただし、故人がお世話になっていた・訃報を知らせるべき相手の場合は喪中はがきを出しても良いでしょう。
葬儀に参列していた人は、もちろん訃報を知っているので喪中はがきを送らなくてもいいのではと考えるかもしれません。
喪中はがきは訃報を知らせるものではなく、あくまで新年の挨拶は控えるということを相手に知らせるもの。参列していただいた方々にもきちんと送るのがマナーです。
また、送る相手が喪中の場合にも喪中はがきは送る必要がありますが、お互い喪中である親族の場合には省略しても良いでしょう。
喪中はがきの基本マナー
冠婚葬祭にそれぞれマナーがあるように、喪中はがきにも基本的なマナーが存在しています。年賀状のように毎年送るようなものでもないので、実は詳しくは知らないという方も少なくありません。
はじめて喪中はがきを出す方はもちろん、今まで出したことがある方もあらためて基本的なマナー・ルールはおさえておきましょう。
基本の文面
喪中はがきは一般的に「5つの構成」から成り立っています。
(1)喪中につき年賀欠礼の挨拶
(2)いつ・誰が・何歳で亡くなったか
(3)送り相手への感謝の言葉
(4)日付
(5)差出人(遺族の名前・住所)
喪中はがきは縦書きが基本です。儀礼的な挨拶状には行頭は下げず、句読点は不要という慣習があり、この場合も例外ではありません。改行やスペースをうまく活用しましょう。
故人の年齢は基本的には数え年で表記します。数え年は、生まれた時点で1歳とし、1月1日の元旦を迎えるたびに1歳ずつ増えていく数え方です。ただし近年は数え年にこだわらず、満年齢で表記する方もいます。
故人の続柄は差出人から見た続柄で記載しましょう。夫婦連名で喪中はがきを出す場合は、夫から見た故人の続柄にします。差出人は夫・妻の順にし、子どもの名前は記載しません。
11月中旬から12月初旬までに届くようにする
喪中はがきは「身内に不幸があったため、新年のご挨拶は控えさせていただきます」という意味で、年賀状のやりとりはできないという旨を伝えるために送るものです。そのため、いつも年賀状をやりとりしている方に迷惑がかからないように、年賀状の準備を始める11月の中旬から12月の初旬までに届くようにするのが基本です
年賀状の受け付けは通常12月15日から始まるので、喪中はがきを送るのが遅いとすでに投函されてしまうかもしれません。そうなると相手の方にもご迷惑をかけてしまうので、最低でも12月初旬まで、できれば年賀状作成をする前に届くよう11月中旬に送るのが理想的です。
お祝いごとや近況報告は避ける
喪中はがきを書く際にも注意点があります。それは「お祝いごとや近況報告など喪中に関係のない内容は避ける」ということです。喪中はがきは、そもそも年賀状を書けない理由を相手に伝えるために送るものです。特に慶事に関する内容を書くのは控えましょう。
どうしても相手に近況報告など伝えたい場合は、松の内(1月7日)以降に寒中見舞いを送ってみてはいかがでしょうか。このように基本さえおさえておけば、喪中はがきを書くこと自体はさほど難しくありません。
相手が喪中と知らずに年賀状を送ってしまった場合
実は喪中だったのに、すでに相手に年賀状を送ってしまった」など、実際にこのようなことが起きた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
相手が喪中だとうっかり忘れていたり、年末に相手の親族に不幸があり喪中はがきが間に合わなかったなど、さまざまケースが考えられるでしょう。ここではそのような場合の対処法をいくつかご紹介いたします。
電話、手紙でお詫びの連絡をする
喪中だと後から知り、すでに年賀状を送ってしまった場合や、喪中はがきと年賀状が入れ違いになってしまった場合は、速やかに電話などでお詫びの連絡をしましょう。
最近だとメールで済ませようと思う方もいるかもしれませんが、相手によっては気分を害すこともあるかもしれません。電話などできちんと非礼のお詫びを伝える方が印象は良いです。
電話や手紙を送る際は、喪中だと知らなかったこと、失礼のお詫び、お悔やみの言葉は忘れないようにしましょう。
寒中見舞いでお詫びの言葉を送る
年末に相手に不幸があり、喪中はがきが間に合わないケースもあります。年賀状が相手に届いたあと、実は喪中だったと知ることもあるかもしれません。そのような場合は「寒中見舞い」にお詫びの言葉をいれて送りましょう。
寒中見舞いを出す期間は、松の内以降(1月7日)から節分(2月3日)までです。相手に届くタイミングも考え、1月末までにポストに投函しましょう。ギリギリになって送るよりも、喪中だと分かった時点で速やかに寒中見舞いを作成、投函するほうがベターです。
喪中見舞いでお詫びの言葉を送る
喪中だと後から知った場合や喪中だと忘れてしまっていた場合など、年内にどうしてもお詫びを伝えたい場合は、電話以外だと「喪中見舞い」を出すという方法も良いでしょう。
寒中見舞いだと、どうしても松の内(1月7日)以降に送ることになります。できるだけ早く、年内にお詫びの言葉を相手に伝えるなら喪中見舞いがおすすめです。
電話でも早くお詫びの言葉を伝えることができます。しかし「年明けを待たず年内のうちに、より丁寧な形で哀悼の意を伝えたい」という方は喪中見舞いを選択するのも一つの方法です。
喪中はがきをもらった場合
もし、自分自身に喪中はがきが届いた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
・全く返信しない
遺族の気持ちを考えて返信を控える場合もあります。
・年始状を送る
年始状とは「明けましておめでとうございます」や「迎春」など賀詞を使用しない年始の挨拶状です。送るタイミングは年賀状と同じですが、おめでたい言葉の代わりに励ましの言葉などを添えることもあります。
・寒中見舞いを送る
松の内(1月7日)以降から節分(2月3日)の間に相手に送るようにしましょう。
・喪中見舞いを送る
どうしても年内に哀悼の意を伝えたい場合に送る場合は喪中見舞いを送りましょう。近年は線香など贈り物をする方も増えています。
喪中はがきが届いたら基本的には年賀状を控えるのがマナーです。
しかし相手によっては、喪中はがきに年賀状を希望する旨を書いている方もいます。
そのような場合は、遠慮なく年賀状を出しても差し支えありません。どうしても気になる場合は、寒中見舞いや年始状で挨拶するのも良いでしょう。
まとめ
大切な人、関係の深かった人が亡くなったとき、お通夜やお葬式、四十九日の法事、遺品の整理、必要があれば喪中はがきの準備など、親族にはやらなくてはいけないことがたくさんあります。しかし、喪中のマナーよりも大切なのは故人を悼む心です。だからこそ、喪中はがきなど早めに手配できることは済ませてしまい、ゆっくりと故人との優しい思い出を偲ぶ時間を確保してください。
関連コンテンツ
-
年賀状の正しい書き方とマナーとは?送り先別に使える文例もご紹介
-
年賀状の宛名の書き方とルール
-
おさえておきたい年賀状のマナーを徹底解説
-
年賀状の連名の正しい書き方やマナーとは?敬称の使い分けも解説
-
年賀状を夫婦連名で出す時の書き方・ルール
-
年賀状を書き損じた時は交換できる?手数料や期限などの対処法
-
年賀状に句読点がNGな理由とは?
-
年賀状の住所の書き方とは?数字は漢数字で書く?
-
年賀状の賀詞の文例をまとめて紹介!意外と知らない賀詞の意味も解説
-
写真年賀状の作り方!ネットで印刷がお得
-
年賀状でスタンプを活用するコツ!しまうまプリントのスタンプ活用法も紹介
-
年賀状を手書きで作成するメリット・デメリットとマナーを解説
-
年賀状を手作り・ハンドメイドでアレンジ&デコレーションするアイデア8選!
-
年賀状はネット印刷・自宅のどちらがお得?
-
年賀状はいつまでに投函すれば元旦に間に合う?いつまで出してOKかも解説
-
年賀状に切手は必要?私製はがきを年賀状にするには?
-
年賀状の受付はいつから?年賀はがきの発売日やポストに投函できる期間まで解説
-
年賀はがきの種類と値段|選び方や種類を間違えた際の対処法を解説
-
年賀状や切手はコンビニで買える!年賀状の種類やコンビニ以外で買える場所を紹介
-
年賀状とは?意外と知らない年賀状の意味や歴史を解説
-
年賀状の処分はどうする?処分方法から個人情報の隠し方までを解説
-
年賀状の保管はどうしてる?いつまで保管する?おすすめの整理・保管方法を解説
-
お年玉付年賀はがきはいつから始まった?導入の歴史や賞品交換方法を解説
-
年賀状の当選番号の確認方法や引き換え方法とは?賞品の一例もご紹介
-
年賀状が届かないときはどうする?年賀状が戻ってくる理由とは?問い合わせ方法と再送する際の注意点を解説
-
お正月の基礎知識!年末の準備や行事、食べ物の由来や意味についても紹介
-
2024年の干支は辰!辰年や龍・竜にまつわる情報をお届け
-
干支ってどんな意味があるの?十二支との違いやその由来もご紹介
-
年賀状をポスト投函できる期間はいつ?ポスト投函に関する疑問も解説!
-
ご無沙汰・疎遠で久しぶりな友達に送る年賀状の一言メッセージ文例
-
年賀状を友達・恋人に送る時のコツ・マナーとは?喜ばれる秘訣も紹介
-
コロナ禍の年賀状はどうする?気をつけたいマナーとおすすめ文例をご紹介
-
年賀状で使える、気の利いた一言文例集。相手に合わせて使い分けよう!
-
引越し・転居を年賀状で報告する際に気をつけたいマナーと例文を紹介
-
年賀状の返信に使える文例集!返事に困ったらこの例文を
-
年賀状じまいとは?基本や伝え方のポイント、理由別の文例をご紹介
-
年賀状での結婚報告は必要?注意点や写真なしのメリット・デメリットも解説
-
年賀状で出産報告をする際に気をつけたいマナーと使える例文を紹介
-
年賀状で使える挨拶文の文例をビジネス・プライベートに分けてご紹介!
-
暑中見舞いを出す時期はいつからいつまで?基本マナーや残暑見舞いとの違いもご紹介
-
親戚へ送る年賀状の書き方やマナーについて解説!例文もご紹介
-
年賀状は海外にも送れる?文化の違いや宛名の書き方、英語の文例をご紹介
-
義両親にも年賀状を出すべき?気をつけたい年賀状の基本マナーや添え書きのおすすめ文例をご紹介
-
高齢を理由にした年賀状じまいのおすすめ文例をご紹介!書き方やポイントも解説
-
年賀状じまいを友達に伝える文例は?円満に伝えるポイントも解説!