年賀状の賀詞の文例をまとめて紹介!意外と知らない賀詞の意味も解説

公開日:2022年9月27日
更新日:2023年10月6日

年賀状というと「謹賀新年」や「迎春」、「あけましておめでとう」など、さまざまな「賀詞」がありますが、それぞれの意味や使い方についてご存じでしょうか。年賀状を書く際に何気なく使っている賀詞には、目上の方に使ってはいけないものや気を付けなければいけないマナーがあります。

一年の始まりを祝う年賀状ですから、賀詞も安易に選ぶのではなく、正しい使い分けができるようにしておきたいですね。今回は、賀詞の種類やその意味、使い方のマナーについて解説していきます。

年賀状の賀詞の文例をまとめて紹介!意外と知らない賀詞の意味も解説

そもそも賀詞とは?

賀詞(がし)とは、年賀状に限らず使われるお祝いの言葉を指します。年賀状は、日頃お世話になっている人たちはもちろん、普段なかなか会うことのできない遠方の人に送る日本固有の文化です。

その始まりは平安時代とされ、新年を祝う気持ちとともに一年の感謝を伝えたり、挨拶代わりに送ったりと、さまざまな意味合いがあります。「賀」には「喜ぶ」といった意味があり、新年を祝う明るいイメージであるのが特徴です。

「謹賀新年」「賀正」「迎春」「明けましておめでとうございます」などが、一般的に使われる賀詞です。

賀詞を書く場所

賀詞は年賀状の最初の書き出しで使用する言葉になります。一般的には目立つように、他の文字よりも大きめに書くのが良いでしょう。目上の方へ送る年賀状は、基本ルールに則った場所に賀詞を書くのがベストです。

友人や同僚など、親しい間柄の人に送る場合は、形式にこだわらなくてもいいかもしれません。

昨今はオリジナルのイラストやデザインなども増えています。賀詞が基本ではない位置にあるケースもありますが、相手との関係性によって使い分ければ問題はないでしょう。

賀詞の種類とそれぞれの意味

賀詞と一言で言っても、一文字のものから四文字のもの、文章や英語の賀詞などさまざまです。どれも一年の始まりを祝う言葉ではありますが、それぞれに意味があるため、送る相手と自分の関係性によって使い分けができると素敵ですね。

まずはどういった賀詞があるのか、年賀状によく使われる賀詞の例やそれぞれの意味について解説します。

一文字の賀詞とその意味

まずは年賀状でよく使われる一文字の賀詞をご紹介します。漢字一文字の賀詞は年賀状のデザインとしても使いやすいため、インパクトのある年賀状を送りたいときにおすすめです。

ただし、目上の方やビジネスの相手に送る場合、一文字の賀詞はシンプルで相手に対する敬意や丁寧さに欠けるため、避けた方が良いでしょう。

寿:めでたいこと、よろこび、祝い、ひさしい、ことほぐ(=喜びやお祝いの言葉を述べる)
福:幸せ、さいわい、幸運
賀:祝い、よろこぶ、ねぎらう
春:新年、一年の初め、新春
吉:めでたい
慶:よろこぶ
安:安らか
和:なごやか

二文字の賀詞とその意味

次に、漢字二文字の賀詞を見ていきましょう。「賀正」や「迎春」など、よく使うという人も多いのではないでしょうか。

ただし、二文字の賀詞も「新年を祝う」と表現しているだけで、相手への経緯や丁寧さに欠けるため、目上の方や取引先などに送る場合は避けるようにしましょう。

賀正(がしょう):正月を祝う
迎春(げいしゅん):新春を迎える
賀春(がしゅん):新春を祝う
初春(しょしゅん):新春、新年
新春(しんしゅん):新しい年
頌春(しょうしゅん):新年をたたえる
慶春(けいしゅん):新年をよろこぶ

四文字の賀詞とその意味

賀詞は元々四文字の漢字からなるのが正式な形であり、「謹」や「恭」など相手を敬う漢字が使われることから、四文字の賀詞こそ礼儀にかなった言葉とされてきました。

漢字四文字の賀詞は送る相手を選ばずに使えるため、賀詞の使い分けに悩んだ場合にもおすすめです。

謹賀新年(きんがしんねん):謹んで新しい年をお祝い申し上げます
謹賀新春(きんがしんしゅん):謹んで新年をお祝い申し上げます
恭賀新年(きょうがしんねん):恭しく新年をお祝いいたします
恭賀新春(きょうがしんしゅん):恭しく新春をお祝い申し上げます
慶賀光春(けいがこうしゅん):輝かしい新春のお慶びを申し上げます
慶祥麗春(けいしょうれいしゅん):麗しい新春のお慶びを申し上げます

文章の賀詞

漢字のみの賀詞のほか、年賀状では文章の賀詞もよく使われます。ただし、お祝い事の文書である年賀状において、「、」や「。」といった句読点はふさわしくないとされています。
文章の賀詞を使う場合、句読点は付けないようにしましょう。

明けましておめでとうございます
新年おめでとうございます
新春のお慶びを申し上げます
謹んで新年のお慶びを申し上げます
謹んで初春のお慶びを申し上げます

英語の賀詞

友人など親しい間柄の相手には、英語の賀詞を使うのも良いでしょう。

「A Happy New Year」と書かれているケースもありますが、正しくはHappy New Yearで、文頭の「A」は付かない点に注意しましょう。

Happy New Year:新年おめでとう
I wish you a Happy New Year:あけましておめでとう
May the new year be a happy and great year for you:新年があなたにとって幸せで素敵な年になりますように

【番外編】珍しい賀詞

新年を祝う一般的な賀詞以外にも、珍しい賀詞があります。いつもと違った気持ちを込めた年賀状にしたい場合におすすめの賀詞を紹介します。

人和年豊(じんわねんぽう):平和で豊かな年でありますように
生龍活虎(うりゅうかつこ):健康とご活躍をお祈りしています
迎春万歳(げいしゅんばんざい):新年を迎え、お喜び申し上げます
芳春凱喜(ほうしゅんがいき):芳(かんば)しい春を迎え心穏やかにお喜び申し上げます
頌佳青陽(しょうかせいよう):新しい春を迎えお祝い申し上げます
嘉祥陽春(かしょうようしゅん):美しく暖かな春をお慶び申し上げます
麗煌韶春(れいこうしょうしゅん):輝かしく新春のお慶びをお祝い申し上げます

賀詞の文字数は用途によって使い分けが必要

新年を祝う賀詞はさまざまで、日本語の豊かさが感じられるでしょう。豊富にある賀詞の中からどれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

「今年はなんとなくこれにしてみよう」というように、気分で選んでしまう人もいるかもしれませんが、賀詞にも一定のルールがあります。

それぞれの文字数の賀詞で紹介した通り、目上の方への年賀状には四文字もしくは文章の賀詞を使用するようにする等、送る相手によって文字数の使い分けが必要です。

間違った使い方をしてしまうと、新年早々、相手に不快な思いをさせてしまうことになりかねません。ただし、送る相手によって賀詞の使い分けが必要なため、賀詞のマナーをきちんと理解し、正しく使い分けできるようにしておきましょう。

相手に合わせた賀詞の文例集

いずれの賀詞もお祝いや喜びを相手に伝えるおめでたい言葉ですが、それぞれに意味があります。「格好良いから」「デザインに合うから」といった理由で賀詞を選ぶこともあるかもしれませんが、場合によってはふさわしくないケースもあります。
年賀状で失敗しないために、意味をきちんと理解し、年賀状を送る相手によって使い分けられるようにしておきましょう。

相手を問わず使える定番の賀詞

漢字四文字の賀詞や文章の賀詞は、送る相手を問わず使うことができます。どれを使えば良いか迷った際は、これらを使うと無難です。

ただし、年上の人に送る場合は「おめでとう」を「おめでとうございます」に書き換えるなど、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。

明けましておめでとうございます
新年おめでとうございます
新春のお慶びを申し上げます
謹んで新年のお慶びを申し上げます
謹んで初春のお慶びを申し上げます
謹んで年頭のご祝詞を申し上げます

目上の方やビジネス関係の方に送る場合

上司やビジネス関係の方など目上の方に年賀状を送る場合は、特に賀詞の使い方に気をつけたいものです。

漢字一文字や二文字の賀詞は、他の賀詞同様お祝いの言葉ではありますが、祝う気持ちを簡単な言葉で表したもので、相手への礼儀や敬意を省略した形とされます。
よって、上司や取引先、目上の方などに使用すると失礼にあたるため、使用を控えるようにしましょう。目上の方やビジネス関係の相手には、漢字四文字の賀詞や文章の賀詞など、よりかしこまった賀詞を選ぶと良いでしょう。

謹賀新年
謹賀新春
恭賀新年
恭賀新春
慶賀光春
慶祥麗春
新春のお慶びを申し上げます
謹んで新年のお慶びを申し上げます
謹んで初春のお慶びを申し上げます
謹んで年頭のご祝詞を申し上げます

友達など親しい方に送る場合

友人や同僚など、親しい人に年賀状を送る場合は、漢字一文字や二文字の賀詞でも問題ありません。

「迎春」は春を感じさせる優しい雰囲気、「賀正」はかしこまったイメージがあり人気の高い賀詞です。ひらがなの賀詞は柔らかい雰囲気、英語の賀詞は明るく親しい感じが出るため、親しい相手におすすめです。

四文字の賀詞や文章の賀詞ももちろん使えるので、自由に言葉選びを楽しんでみてはいかがでしょうか。

賀正
迎春
謹賀新年
あけましておめでとう
Happy New Year

親戚に送る場合

普段なかなか会えない遠方の親戚へご挨拶がわりに年賀状を送る人も多いかもしれません。

親戚であっても、年長者や目上にあたる親戚に年賀状を送る場合は、失礼にならないよう四文字の賀詞や文章の賀詞を選ぶと良いでしょう。

疎遠になっている親戚であれば、近況報告や健康を気遣うメッセージを添えると素敵ですね。

謹賀新年
謹賀新春
明けましておめでとうございます
新年おめでとうございます
新春のお慶びを申し上げます
謹んで新年のお慶びを申し上げます
謹んで初春のお慶びを申し上げます

新年のご挨拶を避けたい場合の賀詞

年賀状を受け取る方が病気や入院中であったり、被災された方であったりした場合、年賀状を送るのを控えようという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、励ましの意味で年賀状を送りたい方もいるでしょう。

そのような場合は、新年を祝う意味の入った年賀状ではなく、相手に適したものを選ぶのがおすすめです。そのような相手には、時期を遅らせて「寒中見舞い」や年始の「挨拶状」を送るのがいいかもしれません。

その際は、「賀」「寿」「おめでとう」などの語句が入った賀詞は使わず、快復や相手の幸福、復興を願う内容の賀詞を添えましょう。相手のことを思いやり、寄り添った一言を添えれば、相手の心にも響くのではないでしょうか。

瑞祥新春(ずいしょうしんしゅん):新年に良い兆しがありますように
永寿嘉福(えいじゅかふく):長きに渡り幸せでありますように
新春万福(しんしゅんばんぷく):新たな年が幸せでいっぱいでありますように
笑門来福(しょうもんらいふく):笑顔で過ごせるよう、幸福をお祈りします
一陽来復(いちようらいふく):困難が続いたあとで、よい流れが巡ってきますように

気を付けたい賀詞のマナー

年賀状に欠かすことのできない賀詞ですが、使い方にはいくつかのルールがあります。何気なく使っているかもしれない「新年明けましておめでとうございます」という賀詞にも、実はNGマナーが隠れています。

おめでたい一年の始まりに送る相手に不快感を与えてしまわないよう、最低限のマナーを心得ておきましょう。

目上の方に一文字・二文字の賀詞を使わない

上司やビジネス関係の方など、目上の方に年賀状を送る際に漢字一文字や二文字の賀詞を使うのはマナー違反とされています。賀詞に使われている漢字には一字ごとにそれぞれ意味があり、字数が少ないほど祝う気持ちや相手への敬意を省略した形になります。

例えば、「賀」や「寿」は「めでたい」ことを意味し、それだけで使うと単純に「おめでたいですね」と言うだけになってしまいます。目上の方には、「恭」や「敬」など敬う意味の文字が入った賀詞を使うとなお良いでしょう。

賀詞は重複させない

一枚の年賀状で賀詞を一つのみ使うことがマナーとされています。やってしまいがちな間違いとして、「新年あけましておめでとうございます」があります。

割とよく目にする表現ですが、「新年」と「あけましておめでとうございます」の二つの賀詞が使われているためNGです。

「あけましておめでとうございます」または「新年おめでとうございます」を使用するようにしましょう。

「謹賀新年」や「賀正」など漢字の賀詞と、添え書きで「あけましておめでとうございます」など文章の賀詞を使ってしまうのも二重賀詞にあたるので注意しましょう。

日付の重複に気を付ける

「元日」は一月一日を意味します。一方、「元旦」は旦という漢字が太陽が地平線から出てくる様を表し、一月一日の朝という意味があります。年賀状は一月一日の朝に届くように出すのが決まりなので、「元旦」を使うのが一般的です。

そのため、「一月一日 元旦」や「一月元旦」は日付の重複にあたり間違いとなります。年賀状に日付を記載する際は、以下のように表記するようにしましょう。

令和◯年 元旦
令和◯年 一月一日
202◯年 一月一日

賀詞に添えるおすすめの挨拶文例

賀詞で新年のお祝いを伝えた後の挨拶文では、相手に対する感謝や敬意を表す文を添えるようにしましょう。ここでは、シーン別に賀詞に添えるおすすめの文例を紹介します。

定番の文例

どんな相手にも違和感なく使用できる定番の文例を紹介します。

旧年中はお世話になりありがとうございました
本年もどうぞよろしくお願いいたします

昨年は大変お世話になり誠にありがとうございました
皆様のご多幸を心よりお祈りいたします

旧年中は大変お世話になりました
幸多き年となりますようにお祈り申し上げます
今年も旧年同様よろしくお願いいたします

目上の方やビジネス関係の方への文例

目上の方やビジネス関係の方へ添える文章は、失礼にあたらないフォーマルな文章を選ぶようにしましょう。

旧年中は格別のお引き立てに預かり厚く御礼申し上げます
貴社の益々のご発展と皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます

旧年中は一方ならぬ御高配にあずかり感謝いたしております
貴社とともに発展していけるよう精進してまいります
本年もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします

昨年中は格別のご厚情にあずかり心より御礼申し上げます
旧年中のご愛顧を感謝致しますとともに 皆様のご繁栄とご多幸を心からお祈り申し上げます

友達など親しい方に送る文例

日頃から親しくしている友人、疎遠になってしばらく会っていない友人など、相手との距離感や関係性によって文章も変わります。相応しいと思う例文に置き換えた一言を添えましょう。

御無沙汰していますがお変わりなくお元気にされていますか
またお会いできる日を楽しみにしています

変わらずお元気にされていますか
寒い日が続きますがお身体にお気をつけて

今年こそゆっくり会いたいですね
本年も〇〇さんにとって最高の一年となりますように

お身体に気をつけてお互い頑張りましょう
幸せいっぱいの毎日になりますように

まとめ

毎年漢字のイメージや音の響き、デザインなどで選んでしまいがちな賀詞。しかし、賀詞にはそれぞれ意味があり、送る相手によって相応しい賀詞は異なります。一年の始まりをお祝いする年賀状は、日頃からお世話になっている方や、なかなか会えない遠方の人への年に一度のご挨拶。

せっかく送るのであれば、賀詞も「なんとなく」で選ぶのではなく、相手によって正しい使い分けができると受け取る人も嬉しいのではないでしょうか。

昨今年賀状を送らないという人も増えていますが、人との関わりが希薄になりがちな今だからこそ、年賀状を送ってみませんか。

この記事を書いた人

しまうまプリント年賀状担当スタッフ

2010年に年賀状印刷サービスを開始以来、数多くのお客様に愛され、しまうまプリントの会員登録数は500万人を突破!年賀状に関するあらゆる情報をわかりやすくお届けします。

よくあるご質問

気を付けるべき年賀状の賀詞のマナーを教えてください

目上の方には一文字・二文字の賀詞を使用するのはNGとされます。
また、何気なく使っているかもしれない「新年明けましておめでとうございます」という賀詞にも、実はNGマナーが隠れています。 詳しくはこちらのページでご説明しています。

年賀状の賀詞にはどのようなものがありますか?

年賀状の賀詞には主に以下の5つがあります。
・一文字の賀詞
・二文字の賀詞
・四文字の賀詞
・文章の賀詞
・英語の賀詞

こちらのページでは、それぞれどのような賀詞があるか、賀詞の意味も含めて合計30種類以上をご紹介しています。