年賀状の賀詞の文例をまとめて紹介!意外と知らない賀詞の意味も解説
公開日:2022年9月27日
更新日:2022年10月3日
このページのコンテンツ
年賀状というと「謹賀新年」や「迎春」、「あけましておめでとう」など、さまざまな「賀詞」がありますが、それぞれの意味や使い方についてご存じでしょうか。年賀状を書く際に何気なく使っている賀詞には、目上の方に使ってはいけないものや気を付けなければいけないマナーがあります。
一年の始まりを祝う年賀状ですから、賀詞も安易に選ぶのではなく、正しい使い分けができるようにしておきたいですね。今回は、賀詞の種類やその意味、使い方のマナーについて解説していきます。

そもそも賀詞とは?
賀詞(がし)とは、年賀状に限らず使われるお祝いの言葉を指します。年賀状は、日頃お世話になっている人たちはもちろん、普段なかなか会うことのできない遠方の人に送る日本固有の文化です。
その始まりは平安時代とされ、新年を祝う気持ちとともに一年の感謝を伝えたり、あいさつ代わりに送ったりと、さまざまな意味合いがあります。賀詞の中でも「謹賀新年」「賀正」「迎春」「Happy New Year」などがよく使われますが、賀詞にも一定のルールがあります。
「今年はなんとなくこれにしてみよう」というように、気分で選んでしまう人もいるかもしれませんが、間違った使い方をしてしまうと失礼にあたる場合もあります。賀詞のマナーをきちんと理解し、正しく使い分けできるようにしておきましょう。
賀詞の種類とそれぞれの意味
賀詞と一言で言っても、一文字のものから四文字のもの、文章や英語の賀詞などさまざまです。どれも一年の始まりを祝う言葉ではありますが、それぞれに意味があるため、送る相手と自分の関係性によって使い分けができると素敵ですね。
まずはどういった賀詞があるのか、年賀状によく使われる賀詞の例やそれぞれの意味について解説します。
一文字の賀詞とその意味
まずは年賀状でよく使われる一文字の賀詞をご紹介します。漢字一文字の賀詞は年賀状のデザインとしても使いやすいため、インパクトのある年賀状を送りたいときにおすすめです。
ただし、目上の方やビジネスの相手に送る場合、一文字の賀詞はシンプルで相手に対する敬意や丁寧さに欠けるため、避けた方が良いでしょう。
寿:めでたいこと、よろこび、祝い、ひさしい、ことほぐ(=喜びやお祝いの言葉を述べる)
福:幸せ、さいわい、幸運
賀:祝い、よろこぶ、ねぎらう
春:新年、一年の初め、新春
吉:めでたい
慶:よろこぶ
安:安らか
和:なごやか
二文字の賀詞とその意味
次に、漢字二文字の賀詞を見ていきましょう。「賀正」や「迎春」など、よく使うという人も多いのではないでしょうか。
ただし、二文字の賀詞も「新年を祝う」と表現しているだけで、相手への経緯や丁寧さに欠けるため、目上の方や取引先などに送る場合は避けるようにしましょう。
賀正(がしょう):正月を祝う
迎春(げいしゅん):新春を迎える
賀春(がしゅん):新春を祝う
初春(しょしゅん):新春、新年
新春(しんしゅん):新しい年
頌春(しょうしゅん):新年をたたえる
慶春(けいしゅん):新年をよろこぶ
四文字の賀詞とその意味
賀詞は元々四文字の漢字からなるのが正式な形であり、「謹」や「恭」など相手を敬う漢字が使われることから、四文字の賀詞こそ礼儀にかなった言葉とされてきました。
漢字四文字の賀詞は送る相手を選ばずに使えるため、賀詞の使い分けに悩んだ場合にもおすすめです。
謹賀新年(きんがしんねん):謹んで新しい年をお祝い申し上げます
謹賀新春(きんがしんしゅん):謹んで新年をお祝い申し上げます
恭賀新年(きょうがしんねん):恭しく新年をお祝いいたします
恭賀新春(きょうがしんしゅん):恭しく新春をお祝い申し上げます
慶賀光春(けいがこうしゅん):輝かしい新春のお慶びを申し上げます
慶祥麗春(けいしょうれいしゅん):麗しい新春のお慶びを申し上げます
文章の賀詞
漢字のみの賀詞のほか、年賀状では文章の賀詞もよく使われます。ただし、お祝い事の文書である年賀状において、「、」や「。」といった句読点はふさわしくないとされています。
文章の賀詞を使う場合、句読点は付けないようにしましょう。
明けましておめでとうございます
新年おめでとうございます
新春のお慶びを申し上げます
謹んで新年のお慶びを申し上げます
謹んで初春のお慶びを申し上げます
英語の賀詞
友人など親しい間柄の相手には、英語の賀詞を使うのも良いでしょう。
「A Happy New Year」と書かれているケースもありますが、正しくはHappy New Yearで、文頭の「A」は付かない点に注意しましょう。
Happy New Year:新年おめでとう
I wish you a Happy New Year:あけましておめでとう
May the new year be a happy and great year for you:新年があなたにとって幸せで素敵な年になりますように
相手に合わせた賀詞の文例集
いずれの賀詞もお祝いや喜びを相手に伝えるおめでたい言葉ですが、それぞれに意味があります。「格好良いから」「デザインに合うから」といった理由で賀詞を選ぶこともあるかもしれませんが、場合によってはふさわしくないケースもあります。
年賀状で失敗しないために、意味をきちんと理解し、年賀状を送る相手によって使い分けられるようにしておきましょう。
相手を問わず使える定番の賀詞
漢字四文字の賀詞や文章の賀詞は、送る相手を問わず使うことができます。どれを使えば良いか迷った際は、これらを使うと無難です。
ただし、年上の人に送る場合は「おめでとう」を「おめでとうございます」に書き換えるなど、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
明けましておめでとうございます
新年おめでとうございます
新春のお慶びを申し上げます
謹んで新年のお慶びを申し上げます
謹んで初春のお慶びを申し上げます
謹んで年頭のご祝詞を申し上げます
目上の方やビジネス関係の方に送る場合
上司やビジネス関係の方など目上の方に年賀状を送る場合は、特に賀詞の使い方に気をつけたいものです。漢字一文字や二文字の賀詞は、他の賀詞同様お祝いの言葉ではありますが、祝う気持ちを簡単な言葉で表したもので、相手への礼儀や敬意を省略した形とされます。
よって、上司や取引先、目上の方などに使用すると失礼にあたるため、使用を控えるようにしましょう。目上の方やビジネス関係の相手には、漢字四文字の賀詞や文章の賀詞など、よりかしこまった賀詞を選ぶと良いでしょう。
謹賀新年
謹賀新春
恭賀新年
恭賀新春
慶賀光春
慶祥麗春
新春のお慶びを申し上げます
謹んで新年のお慶びを申し上げます
謹んで初春のお慶びを申し上げます
謹んで年頭のご祝詞を申し上げます
▼あわせて読みたい
友達など親しい方に送る場合
友人や同僚など、親しい人に年賀状を送る場合は、漢字一文字や二文字の賀詞でも問題ありません。
「迎春」は春を感じさせる優しい雰囲気、「賀正」はかしこまったイメージがあり人気の高い賀詞です。ひらがなの賀詞は柔らかい雰囲気、英語の賀詞は明るく親しい感じが出るため、親しい相手におすすめです。
四文字の賀詞や文章の賀詞ももちろん使えるので、自由に言葉選びを楽しんでみてはいかがでしょうか。
賀正
迎春
謹賀新年
あけましておめでとう
Happy New Year
親戚に送る場合
普段なかなか会えない遠方の親戚へご挨拶がわりに年賀状を送る人も多いかもしれません。親戚であっても、年長者や目上にあたる親戚に年賀状を送る場合は、失礼にならないよう四文字の賀詞や文章の賀詞を選ぶと良いでしょう。
疎遠になっている親戚であれば、近況報告や健康を気遣うメッセージを添えると素敵ですね。
謹賀新年
謹賀新春
明けましておめでとうございます
新年おめでとうございます
新春のお慶びを申し上げます
謹んで新年のお慶びを申し上げます
謹んで初春のお慶びを申し上げます
コロナ禍だから使いたい賀詞
コロナ禍を理由に年賀状を送るのを控えようという方もいらっしゃるかもしれませんが、なかなか会えない状況だからこそ年賀状を送るという人も多いようです。新年を祝う賀詞ではなく、いつもとは少し違った賀詞を使用するのも良いでしょう。
コロナ禍の年賀状で気をつけたいマナーやおすすめの文例は、こちらの記事でもご紹介していますので、参考にしてみてくださいね。
瑞祥新春(ずいしょうしんしゅん):新年に良い兆しがありますように
永寿嘉福(えいじゅかふく):長きに渡り幸せでありますように
新春万福(しんしゅんばんぷく):新たな年が幸せでいっぱいでありますように
笑門来福(しょうもんらいふく):笑顔で過ごせるよう、幸福をお祈りします
▼あわせて読みたい
気を付けたい賀詞のマナー
年賀状に欠かすことのできない賀詞ですが、使い方にはいくつかのルールがあります。何気なく使っているかもしれない「新年明けましておめでとうございます」という賀詞にも、実はNGマナーが隠れています。
おめでたい一年の始まりに送る相手に不快感を与えてしまわないよう、最低限のマナーを心得ておきましょう。
目上の方に一文字・二文字の賀詞を使わない
上司やビジネス関係の方など、目上の方に年賀状を送る際に漢字一文字や二文字の賀詞を使うのはマナー違反とされています。賀詞に使われている漢字には一字ごとにそれぞれ意味があり、字数が少ないほど祝う気持ちや相手への敬意を省略した形になります。
例えば、「賀」や「寿」は「めでたい」ことを意味し、それだけで使うと単純に「おめでたいですね」と言うだけになってしまいます。目上の方には、「恭」や「敬」など敬う意味の文字が入った賀詞を使うとなお良いでしょう。
賀詞は重複させない
一枚の年賀状で賀詞を一つのみ使うことがマナーとされています。やってしまいがちな間違いとして、「新年あけましておめでとうございます」があります。
割とよく目にする表現ですが、「新年」と「あけましておめでとうございます」の二つの賀詞が使われているためNGです。
「あけましておめでとうございます」または「新年おめでとうございます」を使用するようにしましょう。
「謹賀新年」や「賀正」など漢字の賀詞と、添え書きで「あけましておめでとうございます」など文章の賀詞を使ってしまうのも二重賀詞にあたるので注意しましょう。
日付の重複に気を付ける
「元日」は一月一日を意味します。一方、「元旦」は旦という漢字が太陽が地平線から出てくる様を表し、一月一日の朝という意味があります。年賀状は一月一日の朝に届くように出すのが決まりなので、「元旦」を使うのが一般的です。
そのため、「一月一日 元旦」や「一月元旦」は日付の重複にあたり間違いとなります。年賀状に日付を記載する際は、以下のように表記するようにしましょう。
令和◯年 元旦
令和◯年 一月一日
202◯年 一月一日
まとめ
毎年漢字のイメージや音の響き、デザインなどで選んでしまいがちな賀詞。しかし、賀詞にはそれぞれ意味があり、送る相手によって相応しい賀詞は異なります。一年の始まりをお祝いする年賀状は、日頃からお世話になっている方や、なかなか会えない遠方の人への年に一度のご挨拶。
せっかく送るのであれば、賀詞も「なんとなく」で選ぶのではなく、相手によって正しい使い分けができると受け取る人も嬉しいのではないでしょうか。昨今年賀状を送らないという人も増えていますが、人との関わりが希薄になりがちな今だからこそ、年賀状を送ってみませんか。