年賀状の正しい書き方とマナーを解説

更新日:2022年10月3日

一般的な年賀状の書き方とマナー

皆さん、年賀状を書く際に正しい“賀詞”を使えていますか?年号や添え書きの書き方は大丈夫ですか?間違った使い方をすると思わぬ失敗につながってしまうかも。
そこで、失敗しないための正しい年賀状の書き方やマナーについてご紹介します。

年賀状の書き方と知っておきたいマナー

年賀状作成の基本

旧年中の感謝と新年を祝う年賀状。心を込めて書いても、マナー違反の年賀状を送ってしまうと、相手に不快な思いをさせてしまうかもしれません。知っているようで意外と知らない年賀状の基本の書き方を確認して、相手に失礼のない年賀状を送りましょう。


まずは「縦書きと横書きの選び方」です。どちらでも問題はありませんが、日本語は縦書きを伝統としているため、目上の人や仕事関係の相手に送る場合は、縦書きにするようにしましょう。特に年配の人は縦書きを好みますが、近しい間柄であれば横書きでも問題はありません。

次に、忘れてはいけない「朱書き」です。年賀はがき以外の郵便はがきや私製はがきを使う場合は、切手の下に”年賀”と朱書きします。朱書きは一般的なルールとして、赤色を使用します。

朱書きを忘れてしまうと、一般郵便としての取り扱いになり、年内に相手に届いてしまう場合があるので、記入漏れのないように注意が必要です。

そしてもう一つ注意が必要な点は「誤って書いてしまった場合」の対処です。書き損じてしまった年賀状を修正して送るのは相手に失礼にあたります。修正用具を使用したり、二重線を書いたりせずに、最初から書き直して送りましょう。印刷したりネットプリントで注文する場合は、住所や宛名、添え書きなどに誤字脱字がないか、入念なチェックが必要です。

もし年賀状を書き損じてしまった場合は、郵便局の窓口で手数料を払うと、新しいはがきや切手と交換してもらえます。

表面(宛名面)の基本

表面の書き方にはいくつかの注意点があります。一般はがきを送る場合にも基本は変わりませんので、一度マスターすれば今後にも役立ちます。印象のよい年賀状にするために、レイアウトも美しく仕上げたいものです。

まず、宛名の基本ルールを確認しましょう。以下のような内容を既定の書式で記入するようにします。宛名のよい例、悪い例の見本画像も紹介しますので、参考にしてみてください。

宛先の住所

正しく郵便番号を7桁書いていれば市区町村まで省略していても年賀状自体は届きますが、目上の方へ送る場合など年賀状のマナーとして都道府県から記載しましょう。
番地などの数字は、漢数字を使用しましょう。

会社名、部署名、役職名

会社宛てに年賀状を送る場合、会社名を省略して記載してはいけません。
㈱や㈲は使用しないようにしましょう。

宛名、敬称

○○様、○○先生など、世帯主を一番右にして、配偶者、子供の順番に書きます。
子供の名前を省略して、夫婦の名前だけで送ることもできます。

差出人名、住所

はがきの裏面(デザイン面)に記載している場合は、宛名面に差出人名・住所は不要です。

宛名のよい例
表面(宛名面)の基本 表面(宛名面)の基本 表面(宛名面)の基本
宛名の悪い例

同じ苗字の場合、二人目以降の苗字は記入しません。

表面(宛名面)の基本

敬称はまとめずに、必ず宛名の人数分記入します。

表面(宛名面)の基本
ビジネス向け宛名のよい例
表面(宛名面)の基本 表面(宛名面)の基本 表面(宛名面)の基本
ビジネス向け宛名の悪い例

名前を入れる場合、会社名に「御中」は必要ありません。

表面(宛名面)の基本

肩書を名前の後ろに付けてはいけません。

表面(宛名面)の基本

裏面(デザイン面)の基本

裏面には、賀詞、本文、年号、添え書きを記入します。添え書きは必ず書かなければいけないという決まりはありませんが、送る相手によって近況や挨拶文を添えると、心のこもった印象になるでしょう。それぞれ詳しく紹介します。

①文頭に賀詞を書く

そもそも賀詞(がし)とは、年賀状に限らず”祝いの言葉”のことをいいます。賀詞には漢字のみで表現する言葉や、文章で表現する言葉があります。それぞれの意味を知って、送る相手によって言葉を選ぶ必要があります。

例:「謹賀新年」「あけましておめでとうございます」「賀正」「新春のお慶びを申し上げます」「HAPPY NEW YEAR」

②挨拶文

お礼・祈り・願いの3軸を基本とします。

「お礼」は、日頃の感謝の言葉を書きます。
例:「旧年中は格別のご指導を賜り、厚く御礼申し上げます」「旧年中は大変お世話になりました」

「祈り」は、相手の健康や活躍を祈る言葉を書きます。
例:「皆様のご健康とご多幸をお祈りしております」「貴社の益々のご発展と皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます」

「願い」は、今後のお付き合いやご指導をお願いする言葉を書きます。
例:「本年もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます」「本年も尚一層のお引き立てとご愛顧の程お願い申し上げます」

③添え書き

転職や出産などの近況報告や、趣味などの共通の話題、抱負などを記入します。いずれも長文にせず、簡潔にまとめましょう。
例:「ぜひ新居に遊びにいらしてください」「昨年以上の成果を上げられるよう努める所存です」

④新年の年号

作成時は“今年”の年号を書かないように注意しましょう。
「令和○年 元旦」「202○年1月1日」など、年号と西暦はどちらを記入しても構いません。

⑤差出人名、住所

表面に記入しない場合は、裏面に記入します。子供の名前には、ふりがなをふると丁寧な印象になるでしょう。

年賀状の出し方の基本 投函時期と送り先別の注意点

ご存知の通り1月1日に宛先に届くように出すのが基本です。1月1日に宛先に届く年賀特別郵便の投函受付期間は、12月15日~25日ごろです。変動があるので、毎年日本郵便の公式HPでチェックしましょう。

万が一出しそびれた場合は、お詫びはせずに、いただいた年賀状に対するお礼の気持ちだけを追加で添える方がスマートです。遅れても「松の内」(関東では1月7日頃、関西では1月15日頃)までには届くように出しましょう。

受付期間中に出せるか不安な人は、「投函代行サービス 」を利用する手もあります。宛名情報を入力する必要がありますが、思いついた時に簡単に注文でき、投函の手間が不要になります。ぜひチェックしてみてください。

会社の上司や取引先への年賀状

基本を押さえたところで、ビジネス用年賀状の注意点をご紹介します。
デザインで迷う方が多いと思いますが、カジュアルすぎないものであれば特に気にする必要はありません。ただし、家族ぐるみでお付き合いがある場合を除き、子どもや家族などの 写真入りの年賀状は出さない方が無難といわれています。

また、取引先宛の場合は、差出人の欄にも自分の会社名・部署名 などを入れるのを忘れないようにしましょう。また、上司に送る場合でも、大きな会社では部署名を入れた方が分かりやすこともありますので、状況によって記載しましょう。
宛名については、会社宛に出す場合は、会社名・部署名・役職を入れます。自宅宛に送る場合は敬称のみで問題ありません。

親族や友人・知人への年賀状

こちらも基本を押さえた上で、作成時のポイントを紹介します。
デザインは、親しい友人や先生、会社の先輩、高齢の方など、受け取る人の好みに合わせて選ぶようにしましょう。プライベートでも親しくしている上司には、基本的にはプライベート寄りの年賀状で問題ありません。

また、ビジネスの場合とは異なり、写真入りの年賀状は、より親近感を伝えることができ好印象です。特に前年中の結婚・出産・転居等の報告には写真を添えるのが効果的です。
応用として、親戚・友人家族宛に送るような場合は、連名 にすることもできます。主となる人のフルネームの左側に奥さんやお子さんの「名」と「様」を、「名」の頭を揃えて記載します。

恩師・先生への年賀状

いつもお世話になっている先生、かつてお世話になった恩師へ年賀状を出す場合にもポイントがあります。敬称は「先生」のみで、○○先生様と書かないようにしましょう。

賀詞は目上の人へ向けた言葉を選びます。「あけましておめでとうございます」「謹んで新春のお慶びを申し上げます」などが一般的です。

小学生から先生への例文

小学生が先生へ書く場合、簡単な言葉を選ぶと気持ちが伝わりやすいでしょう。

賀詞:「あけましておめでとうございます」「新年おめでとうございます」
お礼:「昨年はお世話になりました」「いつも楽しい授業をありがとうございます」
祈り:「先生も体に気をつけてください」
願い:「先生と○○をして遊びたいです」「今年もがんばります」

中学生から先生への例文

中学生が先生へ書く場合は、教科を教える先生のほかに、部活動の顧問の先生へ送ることもあるでしょう。学校の行事や部活動への抱負などを書くと、先生も嬉しいはずです。

賀詞:「あけましておめでとうございます」「初春のお慶びを申し上げます」
お礼:「昨年は部活動でのご指導ありがとうございました」「いつも丁寧に教えていただきありがとうございます」
祈り:「寒い日が続きますので先生もご自愛ください」
願い:「次の大会では目標を達成できるようにがんばります」「今年はさらに努力して勉強に励みます」

年賀状のNG・マナー違反

年賀状には、賀詞(祝い言葉)として使用されるたくさんの言葉があるのは冒頭でお伝えしたと思いますが、“とりあえず周りが使っているから使っている” “デザインテンプレートにあるものをそのまま使っている”という方、いらっしゃいませんか?
意外と知られていないのですが、きちんとした使い方をしないと失礼にあたってしまう賀詞や間違った日本語であるにも関わらず、それを理解しないまま新年のあいさつをしている方が実に多いのです。
今回は、正しいと思っていたが実はマナー違反だった年賀状の書き方の一例をご説明します。

「賀正」「新春」など、間違えやすい賀詞の使い方

「賀正」「新春」お正月のテレビや年賀状でよく目にするこちらの賀詞。それぞれ異なる意味であることを知って使っていた方、どれくらいいらっしゃいますか?

賀正…正月を祝うこと
新春…新年(を迎えること)

このふたつの意味を見てみると、固いというか見出し調というか、単に行為を述べたもので、相手への敬意といったものが省力されていることが分かります。
親しい友人などには使用してもよいと思いますが、目上の人に送る年賀状となると、漢字一文字や二文字では言葉としての敬意が足りず、失礼な言い方になってしまう、目上の方に年賀状を送る場合は「謹賀新年(謹んで新年をお祝いします)」「恭賀新年(恭しく新年をお祝いします)」といった相手に対しての敬意と丁寧な気持ちの言葉が必要になってきます。

このように、目上の方に送る年賀状には四文字の賀詞が望ましいということがわかります。どの賀詞を使用したらいいのか迷っている方は相手を選ばない「謹賀新年」や「明けましておめでとうございます」を使ってみてください。

文章の賀詞(目上の人に送る場合におすすめ)

あけましておめでとうございます
謹んで新春のお慶びを申し上げます
謹んで新春の寿ぎを申し上げます
初春のお慶びを申し上げます

四文字の賀詞と意味(目上の人に送る場合におすすめ)

謹賀新年:謹んで新年のお祝いを申し上げます
謹賀新春:謹んで新春のお祝いを申し上げます
恭賀新年:恭しく新年のお祝いを申し上げます
恭賀新春:恭しく新春のお祝いを申し上げます
新春来福:新春に福が来ることをお祈り申し上げます

二文字の賀詞と意味(対等または目下の人に送る場合におすすめ)

迎春:新春を迎えること
賀正:新年を祝うこと
新春:新年 初春
慶春:新春をよろこぶこと
頌春:新年をことほぐこと

一文字の賀詞と意味(対等または目下の人に送る場合におすすめ)

寿:めでたいこと 祝言
福:幸せ 幸運
春:正月 新春
賀:祝うこと 祝い
禧:祝福する

賀詞をふたつ使用することはNG

よくある例として「新年あけましておめでとうございます」が挙げられますがこちらの挨拶文、違和感ないという方が結構いらっしゃるのではないでしょうか?

「あけましておめでとう」とは、新しい年が明けておめでとうの意味になります。新年=新しい年となりますので「新年あけましておめでとうございます」となると「新しい年新しい年が明けておめでとう」と新しい年が重複してしまいます。

一般的に間違いだから使ってはいけない!とは言い切れませんが日本語の意味として正しく使うのであれば、次のように賀詞をひとつのみ使用するのが正しい使い方です。

新年おめでとうございます
あけましておめでとうございます

忌み言葉は使用しない

「去年」は普段口にすることの多い言葉ですが、年賀状に使用するのは厳禁です。別れや不幸を連想させる”忌み(いみ)言葉”の「去」の文字が含まれるためです。代わりに「旧年」や「昨年」を使用しましょう。

忌み言葉には、ほかに「失う」「倒れる」「落ちる」「衰える」「崩れる」「捨てる」「病む」「負ける」「割れる」などが挙げられます。感謝やお祝いを伝える年賀状に、縁起の悪い言葉を選ばないように留意することが大切です。

離婚や病気などを近況として報告する場合は、今後の抱負を合わせて書くとよいでしょう。「昨年ひとり身に戻りましたので心機一転がんばります」「昨年は体調に悩まされましたが今年は健康な年にしてまいります」などネガティブな雰囲気にならないように書くと、明るい添え書きになります。

句読点は使わない

文章の区切りや終わりに使う「、」「。」の句読点は、年賀状では”縁起のよいことに区切りをつける”という意味をもってしまうため、使わないのがマナーです。句読点を使わないようにするには、文章を簡潔にまとめたり、改行や空白を使うなどの工夫をしましょう。

レイアウトもすっきりと見やすくなります。いつもの癖でついつい句読点を書いてしまいそうになりますが、相手の幸せが続くように思いを込めて、気をつけながら書きましょう。

A HAPPY NEW YEARの“A”は不要

友人など親しい仲の相手には、この文章から年賀状を書き出す方もいらっしゃる多いかと思いますが、実はA HAPPY NEW YEAR!は間違い。“A”がないHAPPYNEWYEAR!(新年おめでとう!)が正しい挨拶となります。
この理由は同じ挨拶で例えると、Good morning!やMerry Christmas!には“A”は必要ではないことと同じで、HAPPY NEW YEARも挨拶なので“A”は不要ということになります。
※正しい文法で書くのであれば「A happy new year to you!(あなたにとってよい年になりますように)」や「Have a Merry Christmas and a Happy New Year(よいクリスマスと新年を!)」といった形になります。

「一月一日元旦」のように、日付と元旦を組み合わせて書かない

元旦という言葉は、一月一日の朝のことを指しますので、上の例だと「一月一日」を二回書いていることになります。
日付を入れる場合は、次のように書くのが正しい書き方となっています。

令和●年元旦
202●年1月1日

コロナ禍においての注意点

コロナ禍でなかなか会えない人から年賀状が届くと嬉しいものです。会えずに時間が経ってしまった友人や親戚に、近況報告を兼ねて年賀状を送ろうと思う方も多いでしょう。しかし、新型コロナウイルスの流行は誰にとってもネガティブな話題です。

どのように書けばよいのか悩みますね。コロナ禍での年賀状の書き方にも、いくつかの注意点があります。

「禍」は忌み言葉

ここ数年でコロナ禍という言葉が定着しましたが「禍」も上記で紹介した忌み言葉で、「災難」や「不幸をひきおこす原因」という意味をもちます。”コロナ禍”とは、新型コロナウイルスの影響によってもたらされた不幸や混沌とした状況を指しますので、「禍」の文字は使用せずに書きましょう。

ポジティブな文章に

年賀状に悲しい話題はもちろん、心配をかけるような言葉もNGです。「昨年はコロナにかかってしまいましたが元気になりました」と書いても間違いではありませんが、相手によっては「本当に大丈夫かな」と心配に思う人もいるかもしれません。

添え書きには「おうち時間で新しい趣味ができました」「子どもとの時間が増えて絆が深まりました」「いつも○○さんに会えるのを楽しみに過ごしています」「今年こそは家族揃って会いにいきます」などポジティブな話題を書きましょう。

ビジネス向けの場合は「本年も感染症対策に取り組みながら」のひとことを添えたり「新型コロナウイルス感染症の収束と皆様のご活躍をお祈り申し上げます」「一日も早く平穏な日々が訪れますようお祈りいたします」など、コロナ禍での相手の健康を願う文章を書くとよいでしょう。

まとめ

新しい年の訪れを祝い、祝福の言葉を贈る年賀状。目上の相手への年賀状やビジネス上のおつき合いのある相手への年賀状には書式や言葉遣いに配慮し、誤った賀詞を使わないようにしましょう。
一年の初めに交わす年賀状の書き方やマナーを守った上で、よりよい年賀状を送ってみてはいかがでしょうか。

よくあるご質問

一般的な年賀状の書き方を教えてください

表面(宛名面)には「宛先の住所」「会社名、部署名、役職名」「宛名・敬称」を記載します。
裏面(デザイン面)には「賀詞」「年号」「挨拶文・添え書き」「差出人名・住所」を記載するのが一般的です。

こちらの記事内では、画像付きのよい例&悪い例、間違えやすい賀詞の使い方なども詳しくご紹介しています。

賀詞の使い方を教えてください

目上の人に送る場合、対等または目下の人に送る場合でおすすめの賀詞が異なります。
また、「新年あけましておめでとうございます」などのように、賀詞を重複させることはNGとされます。

こちらの記事内では、送る相手によったおすすめの賀詞や、マナー違反になってしまう記載などについて詳しくご紹介しています。

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