干支ってどんな意味があるの?十二支との違いやその由来もご紹介

公開日:2023年10月23日

新年のご挨拶として、親しい方やお世話になった方に送る年賀状。「来年の干支は何だろう?」「そういえば今年は卯年だったな」と、年賀状を作成する際に干支を意識するという方もいるでしょう。

年賀状との関連が深い干支ですが、皆さんは「干支」の本当の意味をご存知ですか?干支というと、「卯」や「辰」などの動物を思い浮かべる方が多いかと思いますが、実はこれらの動物は干支ではなく「十二支」なのです。

それでは「干支」にはどんな意味があるのでしょうか?今回は、干支の本当の意味や十二支との違いについて詳しくご紹介します。

「干支」と「十二支」はどう違う?

「干支」と聞くと、一般的には十二支の動物を連想しがちですが、実はこれらの動物は干支ではありません。干支とは、「十干十二支」を省略した言葉です。この「十干十二支」という言葉を、初めて耳にしたという方もいるのではないでしょうか。

「干支」は「十干十二支」を略した言葉

馴染みのある干支とは異なり、「十干十二支」という言葉は普段あまり耳にする機会がありません。十干十二支とはその名前のとおり、「十干」と「十二支」を組み合わせてできた言葉です。

皆さんもよくご存知の十二支は、「卯」や「辰」などの12種類の動物を指しています。日常生活でも、年賀状のデザインのように十二支を意識する場面はあるものです。

それでは、十干にはどのような意味があり、どんな場面で使われているのでしょうか。

「十干」とは

「十干」とは、古来中国で生まれた考え方です。10日間を一区切りにして、その10日間の1日ずつに名前を割り付けています。

その名前というのが「甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)」という10個の要素で、これらで成り立っているのが十干です。

中国から日本に伝わった十干ですが、日本では「甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)」と読むのが一般的です。

この独自の読み方には、中国の思想である「陰陽説」と「五行説」が関係しています。陰陽説は万物は「陰」と「陽」の2つに分けられるという思想、五行説は万物は「木、火、土、金、水」の5つから成り立つという思想です。

やがて陰陽説と五行説を組み合わせた「陰陽五行説」を十干に当てはめるようになりましたが、日本では陰陽説の「陽」を「兄(え)」、「陰」を「弟(と)」に見立てて「兄弟(えと)」と呼びました。そのため、「きのえ」や「きのと」などの呼び方になったようです。

「十二支」とは

「十二支」に登場する12種類の動物は有名ですが、その漢字に疑問を持ったことはありませんか?ウシは「丑」、トラは「寅」など、十二支で用いられる漢字は一般的な漢字とは異なります。

十二支はもともと、「年」を数えるために用いられる言葉として生まれました。

古代の中国では、12年で太陽のまわりを公転する木星の動きで「年」を数えていました。木星の位置を示すために天を12に分け、12に分けられた天に「子」から「亥」までの12の字を割り当てたことが、十二支の起源と言われています。

やがて、12の字に動物を当てはめるようになり、それをきっかけに十二支が民衆に浸透しました。その後日本でも十二支が広まりましたが、その頃には「年」だけでなく「月」や「時刻」を数える言葉として使われていました。

「十干十二支」の組み合わせは60通り

「十干十二支」では、十干の10の要素と十二支の12の要素を組み合わせることで「年」の呼び方としています。

例えば、十干の「甲」と十二支の「子」を組み合わせると「甲子(きのえね)」となります。十干十二支は全部で60通りの組み合わせが存在し、それらを「六十干支」と読んでいます。

この60通りが一巡して「元の暦に還る」ことが「還暦」です。満60歳を迎えると還暦のお祝いをすることが一般的ですが、これは60年で干支が一巡することに由来しています。

ちなみに、2024年の十干は「甲」、十二支は「辰」です。これらを組み合わせて、干支は「甲辰(きのえたつ)」となります。

年賀状に十二支を使うようになったのはなぜ?

先ほどご説明したとおり、十二支はもともと暦や時間を表す言葉でした。それでは、なぜ年賀状に十二支を使うようになったのでしょうか。

これについては諸説ありますが、年賀状にその年の十二支の動物を描くことで、新しい年の始まりを意識するとともに相手の吉兆や幸福を願う意味があったのではないか、と考えられます。

現在のようにはがきで年賀状を送るスタイルが定着したのは、郵便通信網が確立した明治時代です。その頃の日本では、すでに十二支を動物で表現することが広まっていたため、縁起のよい十二支の動物を年賀状に描くようになったのでしょう。

十二支の動物に込められた意味

十二支に登場する12種類の動物には、幸せを願う意味が込められているため、昔からその年の干支の置物を飾ることは縁起がよいと言われてきました。ここでは、それぞれの動物に込められた意味について詳しくご紹介します。

「子(ネ)」はネズミを指します。繁殖力が高いネズミは「子宝」の象徴とされ、「子孫繁栄」の意味が込められています。また、ネズミは七福神の大黒天の使いと言われていることから「財力」を表すほか、「行動力」も意味します。

「丑(ウシ)」は、昔から農耕や運搬の重要な担い手とされ、人々の暮らしに欠かせない動物でした。生活のパートナーであるウシは、「力強さ」の象徴とされています。「粘り強さ」「誠実さ」「堅実さ」などの意味もあります。

勇猛果敢な動物である「寅(トラ)」は、「勇ましさ」や「決断力」の象徴です。昔から「邪鬼はトラを恐れる」という言い伝えがあることから、張り子のトラをお守りとして授けてくれる神社やお寺もあります。

「卯(ウ)」はウサギのことで、おとなしく穏やかなイメージのある動物です。そんなウサギは「安全」の象徴とされています。ウサギは跳躍力があることから、「飛躍」「向上」といった意味も込められています。

「辰(タツ)」は龍・ドラゴンを指します。十二支の中で唯一空想上の生き物ですが、東洋では生活に密接するモチーフでした。中国において龍は「権力」を表す生き物であるため、十二支の辰も「権力」の象徴とされています。

「巳(ミ)」はヘビのことです。ヘビは脱皮しながら成長するため、「生命」や「再生」の象徴とされています。現在でも全国各地でヘビを崇める風習が残っており、ヘビは金運にも恵まれるという言い伝えがあります。

「午(ウマ)」はウシと同様に、古くから人々の生活に深く関わってきた動物です。農耕・運搬以外に武士の戦においても活躍してきたウマは、「健康」や「豊作」を象徴する動物であると言われています。

「未(ヒツジ)」は、群れで行動することを好む動物です。このようなヒツジの特徴から、「家内安全」や「平和」の象徴とされています。ヒツジは穏やかで優しい性格であるため、未年は穏やかな1年になるという言い伝えもあります。

知能が高い「申(サル)」は、山の神様の使いであると信じられてきました。サルは「賢者」の象徴であると言われています。このようなサルの特徴から、「器用」「臨機応変」などの意味も込められています。

「酉(トリ)」は、特にニワトリのことを指します。金運に関わる生き物として、昔から人々に親しまれてきました。トリは「取り込む」ことに繋がるため、「商売繁盛」の象徴とされています。

「戌(イヌ)」はウシ・ウマと同様に、人々と生活をともにしてきました。飼い主に忠実な動物であるイヌは「忠義」の象徴です。神社の狛犬が示すとおり、イヌには魔を祓う力があるとも言われています。

「亥(イ)」はイノシシを指します。イノシシの肉は万病に効くと考えられてきたため、「無病息災」の象徴とされています。「猪突猛進」という言葉があるとおり、一途で情熱的なイメージもあります。

十二支の動物にまつわる昔話

十二支の動物とその順番について、日本では次のような昔話が伝わっています。

大昔のこと、神様は全国各地の動物たちに手紙を書きました。その手紙には、「1月1日の朝、新年の挨拶に来なさい、1番目から12番目までに来たものを1年交代で動物の大将にしよう」と書かれていました。

この手紙を受け取った動物たちは、自分が一番になろうと神様のもとに出発しました。しかし猫だけは、ネズミから「1月2日の朝に行けばよい」と聞いていたため出発しませんでした。

初日の出が昇るころ、最初に現れたのは早くから出発したウシでした。しかし、ウシの背中に乗っていたネズミが先に飛び降り、1番目に到着しました。その後も続々と動物が到着し、ネズミからイノシシまで12種類の動物が決定したということです。

なお、1日遅れで到着した猫は当然十二支に入ることができませんでした。今でも猫がネズミを追いかけ回しているのは、そのためだそうです。

十干の性質

十干の10の要素には、それぞれ特有の性質があると言われています。十干は、十二支と組み合わせて暦の表示に使われる他、風水で性格などを見る際にも使用されます。ここでは、十干にはそれぞれどのような性質があるのか、順番にご紹介します。

甲(きのえ)

「甲」は、五行の「木」と陰陽の「陽(兄)」を当てはめたものです。多くの人を統率するリーダー的な役割の人を意味しています。

乙(きのと)

「乙」は、五行の「木」と陰陽の「陰(弟)」を当てはめたものです。辛抱強く、物事に執着強く、保守的な人を意味しています。

丙(ひのえ)

「丙」は、五行の「火」と陰陽の「陽(兄)」を当てはめたものです。陽気で情熱的、明るく快活で華やかな人を意味しています。

丁(ひのと)

「丁」は、五行の「火」と陰陽の「陰(弟)」を当てはめたものです。外面は柔和で物静かでも、内には鋭敏な知性を秘め、思慮に優れた人を意味しています。

戊(つちのえ)

「戊」は、五行の「土」と陰陽の「陽(兄)」を当てはめたものです。社交性に富みどっしりとした貫禄のある人を意味しています。

己(つちのと)

「己」は、五行の「土」と陰陽の「陰(弟)」を当てはめたものです。細心で規律正しく経済観念に富んだ人を意味しています。

庚(かのえ)

「庚」は、五行の「金」と陰陽の「陽(兄)」を当てはめたものです。世渡り上手で機転が利く人を意味しています。

辛(かのと)

「辛」は、五行の「金」と陰陽の「陰(弟)」を当てはめたものです。我が強い一方、どんな困難があっても物事を成し遂げる人を意味しています。

壬(みずのえ)

「壬」は、五行の「水」と陰陽の「陽(兄)」を当てはめたものです。善悪すべてを飲み込むような度量のある人を意味しています。

癸(みずのと)

「癸」は、五行の「水」と陰陽の「陰(弟)」を当てはめたものです。正直で潔癖、勤勉で研究心が旺盛な人を意味しています。

年賀状以外に、干支はどんなことに使われている?

干支が使われている場面として真っ先に思いつくのは、十二支の動物が描かれる年賀状ではないでしょうか。

干支は本来、時刻や年月、方角などを示すために使われてきました。時刻を表す言葉として「正午」「丑三つ時」などがありますが、これらも干支に由来した言葉です。

実は年賀状や時刻以外にも、私達の生活の身近なところで十干や十二支は使われています。どんな場面で干支が用いられているのか見てみましょう。

甲子園球場

高校野球の舞台としておなじみの「阪神甲子園球場」ですが、その名前は干支に由来します。阪神甲子園球場が完成したのは、今から1世紀近く前の1924年。干支でいうと「甲子(きのえね)」の年でした。

「甲子」は十干十二支の中でも最初の組み合わせで、甲子の年は縁起がよいと言われています。このことから、球場の名前に「甲子」という言葉が取り入れられ、「甲子園」と名付けられたそうです。

恵方

近年では、節分の日に恵方巻を食べる風習が浸透してきました。その年の「恵方」を向いて恵方巻を食べると縁起がよいとされていますが、この「恵方」にも干支が関係しています。

そもそも「恵方」とは、その年の福徳を司る歳徳神(としとくじん)という神様がいる方角のことを指します。

どの方角が恵方に当たるのかは年によって異なりますが、基本的に恵方は「東北東」「西南西」「南南東」「北北西」の四方しかありません。この四方と十干を組み合わせることで、その年の恵方が決められているのです。

干支に関連する行事

古くから続いている日本の伝統行事にも、干支にまつわるものがあります。

例えば、十二支の「酉」は商売繁盛の象徴とされていますが、毎年11月の酉の日には、各地で「酉の市」という商売繁盛のお祭りがあります。

また、健康・豊作の象徴である「午」にまつわる行事として「初午」があります。初午は2月の最初の午の日で、全国の稲荷神社で五穀豊穣や商売繁盛、家内安全を祈願するお祭りが行われます。

安産祈願のための「戌の日」も有名で、妊娠5か月目の最初の戌の日に腹帯を巻いて安産を祈願するという風習があります。これは、イヌは多産でありながらお産が軽いため、安産の守り神とされてきたことに由来します。

まとめ

今回は、年賀状と深い関わりのある「干支」についてご紹介しました。

十二支と混同されやすい干支ですが、本来は「十干」と「十二支」を組み合わせたものです。あまり聞き慣れない「十干」も、実は日々の生活の中に溶け込んでいることがお分かりいただけたかと思います。

この機会に、ご自身や親しい方の生まれ年の干支について、調べてみてはいかがでしょうか。干支の字や動物に込められた意味を知ることで、新しい発見があるかもしれません。

この記事を書いた人

しまうまプリント年賀状担当スタッフ

2010年に年賀状印刷サービスを開始以来、数多くのお客様に愛され、しまうまプリントの会員登録数は500万人を突破!年賀状に関するあらゆる情報をわかりやすくお届けします。

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