取引先に送るビジネス年賀状のマナーとは?書き方のポイントも解説
このページのコンテンツ
自分が勤める会社の上司や同僚、部下に年賀状を送るのは社会人のマナーですが、取引先へ年賀状を送るべきかどうか悩ましいところです。
取引先には会社から年賀状を出すので個人的に送る必要はないと考える方も多いのですが、実は取引先への年賀状はビジネスマンにとって大きなメリットがあるコミュニケーションツールの1つともいわれています。
そこで今回は、取引先に送るビジネス年賀状の書き方とともに、マナーやポイントについてまとめました。

取引先に年賀状を送るべき?
メールやメッセージアプリの台頭により、年賀状のやり取り自体が減少傾向にある現在、わざわざ手間と費用をかけてまで取引先に年賀状を送る必要はないのでは?と考える人も少なくありません。
実際、仕事納めや仕事始めの際にメールのやり取りで新年の挨拶を済ませてしまう人も多いようです。
しかし、場合にもよりますが、年賀状はビジネスにおいても利点の多いコミュニケーションツールといえます。
取引先に年賀状を送れば、礼儀をわきまえ丁寧に対応する自社の社風を分かりやすく伝えられます。仕事とはいえ、取引する相手は同じ人間です。実際、相手に与えたよい印象が、ビジネスチャンスにつながることも少なくありません。
また、一度一緒に仕事をしただけの取引先と、その後も接点を持ち続けるのは難しいものですが、細く長く続けていた年賀状が新規開拓や人脈づくりのきっかけになることもあるでしょう。
ビジネス年賀状を作成する際のポイントは5つ
ビジネス年賀状を作成する際は、5つのポイントがあります。せっかく年賀状を送るのですから、相手に好印象を抱いてもらえるよう心を配りましょう。
裏面の書き方の基本を押さえる
まず、裏面の書き方の基本をしっかり押さえましょう。一般的に、裏面には次の4つの要素を入れて構成します。
- 賀詞
- 旧年にお世話になったことのお礼
- 受け取る方の幸福を祈る言葉・新年のお願い
- 日付(元旦)
裏面のレイアウトを考えて4つの要素をバランスよく配置すると、受け取った方への印象もよくなります。
手書きで一言メッセージを添える
他社と差をつけるためにも、基本的な文例に加え、手書きで一言メッセージをプラスして印象に残る年賀状を作成しましょう。
取引先には、関係各社からも多くの年賀状が届きます。定型文だけでは、ほかの会社が送った似通った文面の年賀状に紛れ込んでしまい、読んでもらえないかもしれません。
また、たとえビジネス上の付き合いでも、相手の顔を思い浮かべながら心を込めてメッセージを書けば、きっと日頃お世話になっている感謝の気持ちも伝わるでしょう。
取引先への一言メッセージには、旧年中のお礼やお力添えをお願いする言葉など、前向きな一言を添えると好印象になります。相手のお名前やプロジェクト名などを明確に記載するのもよいでしょう。
<文例>
「旧年中は〇〇(プロジェクト名)において 〇〇さんには格別のご厚情を賜りましたこと御礼申しあげます」
「〇〇さんがおっしゃっていた新規プロジェクトに 私も御協力させていただければ幸いです」
「昨年は○○さんと××プロジェクトでご一緒し 非常によい勉強をさせていただきました」
落ち着いた雰囲気の年賀状を選ぶ
ビジネス上の取引先に宛てる年賀状は、落ち着いた雰囲気のものを選びましょう。色合いは、コーポレートカラーを基調にすると、会社のイメージが伝わりやすくなります。
全体のレイアウトは読みやすさを優先し、文章とモチーフのバランスにも配慮しましょう。干支など新年のおめでたいイラストを入れる場合は、派手になりすぎないよう注意が必要です。
フォントは、ビジネスシーンで一般に使用されるゴシック体や明朝体などを使うとビジネス向けらしくなります。和紙など高級感のある材質の用紙にするのもおすすめです。
宛先の部署・役職名を確認しておく
宛先の部署・役職名を確認しておくのも忘れないようにしましょう。変化のめまぐるしい昨今は、異動だけでなく、企業の再編や部署名・役職名の変更なども多く見られます。
取引先に年賀状を送る際は、失礼のないよう配慮したいものです。名刺のほか、取引先の運営するホームページやSNSで最新情報をチェックするとよいでしょう。
家族写真などの使用を控える
家族写真などの使用は控えたほうが無難です。「取引先への年賀状に写真を掲載してはいけない」という決まりはありませんが、品位を損なわないようにする必要があります。
社員の集合写真や会社のロゴ写真を入れる場合は、新年の挨拶という目的から離れないようなものに限定しましょう。
なお、家族写真を使用した年賀状は、近況報告の意味合いが強く、取引先へ送る年賀状としてふさわしいとはいえません。
プライベートでお付き合いがある場合は問題ありませんが、ビジネスのみのお付き合いの場合は、プライベートの写真を使用した年賀状は避けた方がよいでしょう。
しまうまプリントの年賀状では、写真を使用しないデザインも豊富に取り揃えています。写真を使わないデザインに困った場合は、しまうまプリントの便利な年賀状印刷サービスをご利用ください。
取引先への年賀状で知っておきたいマナー
ビジネス年賀状は、普通の年賀状とは書き方や守るべきマナーがやや異なります。
相手に不快な思いをさせてしまう内容では、かえってマイナスのイメージを与えてしまいます。今後も取引先とよい関係を続けていくためにも、失礼のないよう礼儀正しい年賀状を作成しましょう。
この章では、取引先へ年賀状を送る際に知っておきたいマナーについて紹介します。
宛名書きのルールを確認する
取引先への年賀状は一般的に先方の会社宛に送りますが、社内でスムーズに仕分けできるよう、宛名面には会社名のほかに部署や肩書きも入れるのが基本です。宛名は、都道府県や会社の名称を省略せず、肩書きは名前の上にやや小さめに書きましょう。
また、取引先への年賀状の敬称は、宛先によって大きく異なります。会社宛なら「御中」を使用しますが、特定の社員宛てに送りたい場合は個人名に「様」をつけます。その場合、会社名には「御中」をつけませんので、二重敬称にならないよう注意しましょう。
賀詞の選び方に注意する
賀詞とは、お祝いの言葉を意味します。年賀状では「寿」や「迎春」といった1文字や2文字の賀詞を使用しているケースが多く見受けられますが、1文字や2文字の短い賀詞は取引先向きではありません。
「寿」や「迎春」といった、1文字や2文字の賀詞には、「おめでたい」「新年」といった意味しかなく、相手に対する敬意や丁寧さが含まれていません。目下の方への年賀状に使用する場合は問題ありませんが、取引先への年賀状の使用はマナー違反となるため注意しましょう。
取引先に送る年賀状では、「謹賀新年」「恭賀新年」などの4文字の賀詞や、「新春のお慶びを申し上げます」「謹んで初春のお喜びを申し上げます」などの文章の賀詞を使用します。「謹んで」や「恭しく(うやうやしく)」など、相手を敬う漢字が含まれているため、礼儀正しい新年の挨拶ができます。
個人的な近況報告は避ける
本来、年賀状は新しい年を迎えたことを祝い、相手の幸せを願うために送る挨拶状です。相手のことや今後のことを書くことが基本であり、個人的な近況報告をする場ではありません。
友人や家族に送る年賀状では、新年の挨拶とともに近況報告をする方が多く見受けられますが、取引先に送る年賀状では、個人的な近況報告を避けるのがマナーです。
相手によっては、親しいお付き合いがあり、個人的な近況報告をしたい場合もあるでしょう。そのような場合は、近況報告が内容のメインとならないよう、文面の最後に一言書く程度にします。
必ず元旦に届くよう投函する
年賀状は松の内(関東なら1月7日、関西は1月15日頃)の期間内に出すのがルールです。確実に元旦に届くようにするには、前年の12月25日までに年賀状を投函しなければなりません。
なかには25日以降に投函しても元日に配達してくれる場合もあるようですが、地域差が大きいため、期日を守ったほうが無難です。
忌み言葉を避ける
忌み言葉を避けるのもマナーのひとつです。忌み言葉とは、不幸や不幸が重なることを連想させる・縁起が悪いなどの理由で使わないほうがよい言葉のことです。
年賀状に限らず、結婚式のスピーチや葬儀のお悔やみの言葉なども、忌み言葉を含まないよう配慮する必要があります。
特に「去年」という言葉は、日常会話で何気なく使っていますが、年賀状では「去る」という意味を持つ忌み言葉です。使用する際は、「旧年」または「昨年」などに言い換えましょう。
年賀状は、新たな1年を祝う挨拶状です。「絶える」「終わる」「離れる」「失う」「切る」などの忌み言葉を避け、希望や幸福を願うポジティブな表現を使うよう心がけましょう。
句読点を使わない
年賀状では、句読点は使用しません。1906年(明治39年)に文部省が「句読法案」を発表して以降、日本では読み手に内容を分かりやすく伝えるため、文章に句読点で区切りをつけています。
しかし、年賀状では、句読点は「区切り」や「終わり」など、お祝いごとに区切りをつけるものとして使用を控えるのがマナーです。特に、取引先の年配の方に宛てる年賀状では、失礼に当たらないよう注意しましょう。
このほか、「?」や「!」などの感嘆符も、年賀状では使用しないものとされています。
取引先への年賀状で使える文例集
友人や家族に送る年賀状は、写真を使用したり近況報告をするなど、内容に悩むことはないでしょう。一方で、取引先へ送る年賀状は、失礼のない言葉遣いや年賀状のルールを意識するあまり、「どのような文面にすれば良いかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
取引先に年賀状を送る場合、以下3つの点をおさえておくと礼儀正しい年賀状に仕上がります。
①旧年中お世話になったことへの御礼
②変わらぬお付き合いのお願い
③先方の健康や幸せへの祈り
ただ、これだけだと一般的な定型文になってしまいます。より印象を良くしたい場合は、相手の名前や一緒に関わったプロジェクト名などを明確に記載しましょう。
人は自分の名前を繰り返し呼ばれると「この人は自分に好意を持っている」と無意識に感じる傾向にあります。
これを「ネームコーリング効果」といい、年賀状でもあえて先方の名前を明記することによって、より自分を印象づけることが可能です。
ここでは取引先への年賀状に使える文例を3つ紹介します。あわせて、手書きで書くと喜ばれる一言メッセージも紹介しますので、取引先の年賀状作成の参考にしてください。
文例1
新春のお慶びを申し上げます
皆様におかれましては お健やかに新春をお迎えのことと存じます
旧年中に賜りましたご厚情に感謝いたしますとともに
本年も更なるご愛顧の程よろしくお願い申し上げます
令和●年 元旦
文例2
謹んで新春のお慶びを申し上げます
平素より格別のお引き立てを賜り 厚く御礼申し上げます
皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈りいたしますとともに
本年も何卒ご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます
令和●年 元旦
文例3
謹賀新年
旧年中はひとかたならぬご高配を賜り 誠にありがとうございました
おかげをもちまして弊社も創業十年目を迎えることができました
これもひとえに皆様のご支援の賜物と感謝いたしております
本年もご期待に応えるべく精進してまいりますので
昨年同様に変わらぬご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます
令和●年 元旦
取引先へ送るビジネス年賀状でよくある質問
この章では、取引先へ送るビジネス年賀状でよくある質問をまとめてみました。ぜひ、今後の参考にしてください。
取引先の誰に送ればよい?
一般企業の場合は、企業や部署の担当者から、仕事でやり取りをしている取引先の担当者宛てに年賀状を送ります。
ビジネス向けの年賀状は、企業によって差出人が社名のみ・経営者の名前が入っているもの・企業名と部署名が入っているものなど、タイプもさまざまです。取引先には、自社が用意したそれらの年賀状に自分の名前を書いて送りましょう。
なお、同僚や上司など複数人が担当している場合は、それぞれが年賀状を出すと、先方は同じものを何枚も重複して受け取ることになります。社内の連携も問われますので、連名にする、または代表して1人が送るなど、事前に打ち合わせておきましょう。
名刺を交換しただけの取引先には送る?
名刺を交換しただけで、その後は会っていない取引先もいらっしゃるかもしれません。そのような場合も、年賀状を送るとよいでしょう。
ビジネスでは人脈づくりも大切です。1枚の年賀状が、今後の取引のきっかけにならないとも限りません。セミナーや勉強会などで会った方にも送っておくと、将来的に業務で関わった時に人間関係を構築しやすくなります。
「この先もこの方とお付き合いしたい」と思った取引先を吟味すれば、増え過ぎないよう送る枚数を調整できるでしょう。
出し忘れた場合はどうする?
元旦に届くよう投函するのが、ビジネスで取引先に年賀状を送る際のマナーです。出し忘れてしまった場合も、三が日には届くようにしましょう。
さらにタイミングが遅れてしまった場合は、関東では松の内が明けた1月8日、関西では1月16日から立春の前日の2月3日までに寒中見舞いを送ります。
年賀状を出していない取引先から届いたら、メールで返信するのではなく、ビジネスマナーとしてきちんとはがきで返しましょう。
まとめ
近年は、メールやSNSなどの普及により、年賀状ではなく、メールで新年の挨拶を行う企業も増えています。メールは紙の年賀状にくらべて手間やコストはかかりませんが、年末年始には関係各所から挨拶メールが届くため、強い印象を与えて他社と差別化を図ることは難しいでしょう。
その点、手元に残る年賀状は、取引先へきちんと誠意を伝えられます。また、日頃の感謝の気持ちを伝える絶好のチャンスでもあります。年賀状でよい印象を与えれば、新たな取引が始まるきっかけにもなるかもしれません。
旧年中の感謝の言葉と、今後のお付き合いをお願いする前向きな言葉を添えた、丁寧な年賀状を送ることが大切です。年賀状で取引先との大切な繋がりを強化してみてはいかがでしょうか。
関連コンテンツ
よくあるご質問
取引先に年賀状を送る場合、会社宛てと個人宛ではどのような違いがありますか?
会社宛と個人宛では宛名の敬称が異なります。
会社宛なら「御中」を使用しますが、特定の社員宛てに送りたい場合は個人名に「様」をつけます。
その場合、会社名には「御中」をつけませんので、二重敬称にならないよう注意しましょう。
こちらの記事内では、取引先に年賀状を送るメリット、マナーや書き方をご紹介しています。
取引先に年賀状を送るメリットはありますか?
年賀状のやり取り自体が減少傾向にある現在、わざわざ手間と費用をかけてまで取引先に年賀状を送る必要はないのでは?と考える人も少なくありません。取引先に年賀状を送ると、ビジネスのうえでメリットはあると思います。詳しくはこちらでご紹介しています。