お年玉付年賀はがきのルーツとは?歴史やくじ賞品の変遷を徹底解説

公開日:2023年7月26日
更新日:2024年8月22日

新年の挨拶として、親戚や友人などお世話になった方へ送る年賀状。やりとりするだけでなく、年賀はがきについているお年玉くじを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

そんな年賀はがきには、どうしてお年玉くじがついているのでしょうか。

今回は、お年玉付年賀はがきのルーツや歴史、時代とともに変化した賞品について詳しく解説します。

お年玉付年賀はがきとは?

お年玉付年賀はがきは、新年の挨拶に加えて「素敵な賞品が当たるかも!?」というワクワクも相手に届けられる日本独自のものです。

現在のお年玉付年賀はがきには、宛名面の下部にお年玉くじの抽選番号が載っています。

くじは1等から3等まであり、賞品には現金やふるさと小包などもあるので、毎年楽しみにしていらっしゃる方も多いでしょう。

お年玉付年賀はがきの発売日は、毎年11月1日ごろ。郵便局の窓口や特設スペース、コンビニエンスストアなどで購入が可能です。郵便局での年賀状の引き受け開始は毎年12月15日からで、12月25日までに投函すると翌年の元旦に届きます。

一般的な年賀はがきに加えて、人気のディズニーキャラクターがモチーフの年賀はがきも発売されています。ディズニーモチーフの年賀はがきに関しては、料金や用途は通常の年賀はがきと変わりません。お年玉くじの抽選番号もついています。

当選番号は、毎年1月中旬に開催される抽選会で決定され、新聞や郵便局のホームページで公表されています。

せっかくの機会ですので、お年玉くじの当選番号が発表されたら、お手元に届いたお年玉年賀はがきが当たったかどうかを確認してみましょう。

そもそも年賀の風習とは?

今でこそ当たり前のようにやりとりしている年賀状ですが、年賀の風習はいつから始まったのでしょうか。

これまでの郵便に関する資料をたどってみると、年賀状の始まりは諸説ありますが、日本には昔から目上の方の元に出向く「新年の挨拶回り」をする風習がありました。

平仮名が普及し始めた奈良時代もしくは平安時代になると、挨拶に出向けない遠方の方への新年の挨拶として手紙を送るようになったことが、年賀状のルーツであるとされています。

当初は、身分の高い貴族を中心に広まりましたが、輸送手段の発達や教育制度の制定によって、次第に一般庶民も年賀状を送るようになりました。

その後、郵便制度が開始されて「郵便はがき」が市場に出回るようになると、年賀状は日本の文化として広く浸透していったのです。

お年玉付年賀はがきの歴史

お年玉付年賀はがきはいつから始まったのでしょうか。年賀状のはじまりから、現代のお年玉付年賀はがきが発売されるまでの歴史を紹介します。

日本最古の年賀状

現存する日本最古の年賀状は、平安時代後期に藤原明衡によってまとめられた「雲州消息」内にあるといわれています。「雲州消息」内には、新年の挨拶を含む文例がいくつも取り上げられていました。

このころから貴族の間では、手紙によって新年の挨拶を行っていたのではないかと、考えられています。

また同じころ、お世話になった親族や知人宅へ新年の挨拶をして回る「年始回り」という慣習も広まりました。この慣習は広く世間に伝わり、その後大正時代ごろまで続きます。

江戸時代になると、庶民にも手紙のやり取りが広がります。寺小屋の登場により庶民も読み書きができるようになったことで、手紙のやり取りが身近なものになりました。

あわせて、街道の整備とともに、今の宅配便や郵便の先駆けとなる飛脚が登場しました。飛脚の登場も、庶民の手紙のやり取りを後押ししたのです。そんな中、人々の交流関係も広くなっていき、年始の挨拶「年始回り」を手紙で済ませる人も増えていきます。

また、玄関に名刺受けを設置する家も増えてきました。現在のポストのようなもので、不在時に新年のお祝いの言葉を書いた名刺を名刺受けに入れてもらうスタイルも登場します。これがのちの年賀状に繋がったといわれています。

現在の年賀状へ

現在の年賀状のスタイルになったのは、明治時代のことです。1871年に郵便制度が開始されたことで、庶民が気軽に手紙を送れるようになりました。郵便の全国一律料金が採用されたのもこのタイミングです。これを機に、全国に郵便局やポストが設置されていきます。

1873年には郵便はがきが発売され、その後年賀状は大人気に。年賀状を送ることが、お正月の恒例行事となりました。

当時は、「年末の一定期間に年賀はがきをポストに投函すれば、翌年の1月1日に届く」といった制度はまだありません。そのため、多くの人が元日の消印をねらって、年末に年賀状を投函しました。大量の年賀状の対応に郵便局員は手間を取られ、通常の郵便物にも影響を及ぼしたと言われています。

年末に年賀状が集中してしまう対策として、1890年には1月1日〜3日間の集配度数を減らし、1898年には1月1日〜5日に到着する郵便はがきの到着日付印を省略しました。

そして1899年、「年賀郵便物特別取扱」の仕組みが一部の郵便局で開始されました。年末の一定期間に差し出された年賀状を、1月1日に配達するという制度ができ、現在の年賀状のスタイルになったのです。

お年玉付年賀はがきの誕生

お年玉付年賀はがきが初めて発売されたのは1949年12月のことです。年賀はがきにお年玉くじを付けることをを思いついたのは、郵政省ではありません。発案者は、民間人で当時京都に住んでいた林正治さんです。林さんは、大阪心斎橋で用品雑貨の会社を営んでいました。

第二次世界大戦中、年賀状は郵便局での取り扱いが中止されていました。終戦後の1948年、年賀状の取り扱いが8年ぶりに開始されました。しかし戦後の混乱の中、住所が分からない人も多く、年賀状を送る人もあまり多くはいなかったようです。

そんな中、林さんはお年玉付年賀はがきのシステムを思いつきます。年賀状が戦前のように盛んになれば、お互いの消息もわかり、励ましあえる。そこにお年玉くじがつけば、さらに人々の心を前向きにさせるのではないか、と考えたのです。

そして1949年、林さんはお年玉付年賀はがきのアイディアを郵政省に持ち込みます。
林さんのお年玉付年賀はがきの案はすんなり採用されたわけではありません。郵政省の中でも意見が割れました。戦後の混乱した世の中に出すには不謹慎ではないかとの意見もあったのですが、紆余曲折を経て、みごと採用されることになりました。

戦後復興期の日本に明るい希望を

その後、お年玉付年賀はがきは大ヒットを遂げます。新年の挨拶だけでなく、豪華賞品があたるというワクワクも届けられるお年玉付年賀はがき。戦後の人々の復興に向ける思いと、伝統的な日本文化に基づく新年の祝賀の思いが、お年玉付年賀はがきにフィットしたのかもしれません。

お年玉付年賀はがきはその後も売上を伸ばし、お正月の風物詩になりました。年賀状の取り扱い数もそれに伴って増加。1955年頃には戦前のピークの取り扱い数まで到達しました。

戦後、人々が大変な時代だからこそ、お年玉付年賀はがきで明るい前向きな気持ちを届けたい、と考えた林さん。林さんの考え通り、年賀状で人々は繋がりを取り戻し、戦後間もない日本にたくさんの夢を与えました。

お年玉くじの抽選会

最初のお年玉付年賀はがきが発売された翌年の1950年、新年のお年玉くじの抽選会がスタートしました。毎年1月中旬ごろにおこなわれ、回転している的にボーガンで矢を放って当選番号を決めます。

抽選会のセレモニーは、新春の恒例行事として約70年にわたって続けられてきました。しかし、2023年に新型コロナウイルス感染症の影響によってWebサイト上のみの当選番号発表となりましたが、翌年2024年には、2年ぶりにセレモニー方式が再開されました。

このお年玉くじ当選確率は、1等賞品が100万本に1本、2等賞品は1万本に1本、3等賞品は100本に3本です。

計算上は、年賀状を100枚もらえば、3等賞品の切手シートが3枚当たることになります。1等賞品にいたっては100万本に1本ですから、当たった方はかなり運がよいでしょう。

お年玉くじの賞品内容は?

初年度(1950年)のお年玉くじの賞品は、特等がミシンです。当時、ミシンは大半が月賦販売されるような高級品でした。そのほかの賞品も、1等が純毛洋服地、2等が学童用グローブ、3等は学童用コウモリ傘などの日用品です。

戦後のモノのない時代に人気のあった日用品などの賞品は、時代とともに変化していきます。1990年代の半ばまでは、下記のように電化製品や海外旅行券などが過去の最上位の賞品でした。

1956年(昭和31年) 電気洗濯機
1969年(昭和44年) 8ミリ撮影機映写機セット
1974年(昭和49年) ラジオ付きカセットテープレコーダー
1983年(昭和58年) カラーテレビ
1984年(昭和59年) 電子レンジ
1989年(昭和64年) 海外旅行券
1996年(平成8年) ワイドテレビ、液晶モニター付ビデオカメラ、電動補助力付自転車

この頃までは、常に人々の憧れの品がお年玉くじの賞品に選ばれていましたが、昨今は賞品もかなり「さま変わり」しています。

平成から令和に変わる2019年のお年玉くじでは、一部券種限定で「東京2020大会応援賞」も用意されました。ちなみに、1等は「プレミアム商品」と称した国内旅行・アクティビティ体験・ロボホン・ドローンの4点から1点または現金30万円でした。

その後、2022年~2024年のお年玉付年賀はがき・年賀切手のお年玉くじでは、下記賞品が定番となっています。

2023(令和5)年用お年玉付年賀はがき・年賀切手 賞品
1等賞品 現金30万円または電子マネー等31万円分または2022年発行特殊切手集&現金20万円
2等賞品 ふるさと小包等
3等賞品 お年玉切手シート

1等賞品は、上記の3つの中から選ぶ選択制です。
電子マネーは、Amazonギフトカードやnanaco、WAONなど提携している各種電子マネーから自由に選択し、交換することができます。

2等賞品のふるさと小包は、全国各地の特産品が中心です。2024年のふるさと小包の一部をご紹介します。

  • 紀州南高梅 はちみつ入「黄金漬」
  • 北海道産ゆめぴりか
  • 青森リンゴジュース(ストレート)
  • メープルシロップ
  • やまや ドライ明太子
  • オムロン 電子体温計
  • 山中塗 汁椀ペア
  • 今治製 タオルセット

日本各地の伝統工芸品も取り扱われるようになり、選べる賞品のジャンルが増えました。

3等賞品は、束ね熨斗の切手シートでした。84円と63円のセットで図柄の美しいデザインです。

お年玉付年賀はがきが当選していたら

お年玉付年賀はがきの抽選は、毎年1月中旬に行われます。ご自身に届いた年賀状の当選番号を確認しましょう。当選が確認出来たら、郵便局へ引き換えに行きましょう。

2024年の賞品引き換え期間は、2024年1月18日から同年7月17日まででした。毎年引き換え期間は同じくらいの時期ですが、過ぎてしまうと引き換えができないので注意しましょう。

次に賞品の引き換え方法について確認しましょう。引き換え場所は郵便局の窓口ですが、賞品によって受け取り方が異なります。賞品が切手シートの場合は、郵便局に当選したお年玉付年賀はがきを持参すれば、窓口で交換ができます。なお切手シートはその場で受け取ることができます。

賞品がふるさと小包の場合は、当選した年賀はがきに加えて、受け取る人の身分証明書が必要になります。運転免許証や健康保険証などです。ふるさと小包はその場で受け取ることができず、後日郵送で届きます。

賞品が現金または電子マネーの場合も、当選した年賀はがきと本人確認ができる身分証明書が必要です。こちらもその場では受け取ることができません。

現金の場合は後日、現金書留で自宅に送られます。電子マネーの場合も、後日ギフトIDが簡易書留で届きますので、そちらをもとに電子マネーに交換しましょう。

なお、未使用の年賀状でも当選していれば交換が可能です。書き損じたはがきや未使用のはがきも、当選を確認しておくとよいでしょう。この場合、本人確認書類は必要ありません。

寄付金付お年玉付年賀切手とは?

ここまでお年玉付年賀はがきについて解説してきましたが、年賀切手にお年玉くじが付いたものもあります。

寄付金付お年玉付年賀切手です。お年玉付年賀はがき同様、6桁のくじ番号がついており、抽選も年賀はがきと共通ですが、料金に寄付金が上乗せされます。63円切手の場合は、1枚につき3円の寄付金が含まれます。

寄付金付お年玉付年賀切手を貼って、切手の下に「年賀」と書けば、年賀はがきでなくても年賀状として使用でき、かつお年玉くじにも参加できます。お気に入りのポストカードや通常のはがきも、お年玉付年賀はがきに早変わりです。

ちなみに寄付金は社会福祉や災害、人命救助、青少年の健全な育成、地球保全などに使われています。寄付金付お年玉付年賀切手を使うことで、社会貢献にもつながります。

まとめ

宮殿での新年の挨拶から始まり、時代とともに文字を書くことが身近になって誕生した年賀状。すっかり日本の正月文化として根付き、戦後には人々に夢や希望を与えるためのお年玉くじも考案されました。

70年以上が経過した今も、時代のニーズに合わせたお年玉くじの賞品を楽しみに、毎年抽選番号の発表を心待ちにしてる方も多いことでしょう。

しまうまプリントのお年玉付年賀状のデザインは2,000点以上。自分だけのオリジナル年賀状を作ることもできます。

みなさんも、日ごろお世話になっている方々へ、新年のご挨拶とともにお年玉付年賀はがきでワクワクを届けてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

しまうまプリント年賀状担当スタッフ

2010年に年賀状印刷サービスを開始以来、数多くのお客様に愛され、しまうまプリントの会員登録数は500万人を突破!年賀状に関するあらゆる情報をわかりやすくお届けします。

よくあるご質問

お年玉付年賀はがきの誕生のきっかけは?

お年玉付年賀はがきの発案者は郵政省ではなく、民間人の方でした。
終戦後、年賀状の取り扱いが再開された後、年賀状が盛んになれば励ましあい、さらにお年玉くじで人々を前向きにできるのではないかという思いから誕生しました。

お年玉付年賀はがきの賞品内容はどういったものですか?

2023(令和5)年用では、
1等:現金30万円または電子マネー等31万円分または2022年発行特殊切手集&現金20万円
2等:ふるさと小包など
3等:お年玉切手シート
といった賞品ラインナップとなっていました。